占い
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再び櫛を口に持ち代え洗面器を覗いてみると、自分とギャルソンの顔がユラユラと水面に映っている。普通に心霊現象だが全く怖くない。
二人も映っていて本当に映るのかはわからないが、こんな状態じゃ止めるに止められないのだ。それはくっついているだけだったギャルソンの腕が段々と前に伸び、抱きしめる形になっていったから。水面を見れば、嬉しそうに頬擦りしながら水面越しにこちらを見つめ続けるギャルソンに、気恥ずかしくなってしまい占いどころではなくなってしまうのだった。
「映りませんねぇ…あ、喋らなくていいですよ」
水面越しに目が合うと、先程まで嬉しそうだった顔が段々と悲しそうな顔へ代わっていった。櫛を咥えている為返事が出来ない自分に、耳元で小さく彼は呟いた。
「…私の顔なら映ってるんですけどね」
ちゃぽん、と水音を立てながら落ちた櫛。水面が激しく揺れては段々とその揺れを無くしていった。
「な…なんで落としちゃったんですか」
「え!それは、その…」
その質問に答えるより先に、自分の鼓動がしっかりと分かる程強く脈打っている事と、変に反応してしまった自分が恥ずかしくなってしまったのだ。
しどろもどろに櫛を落とした理由を探していると、不意にギャルソンは抱きしめていた腕をするりと退かし、ゆっくりと暗闇に消えていってしまったのだった。
突如消えてしまった彼の姿に、慌てて暗い風呂場を見渡すがやはりどこにも居ない。気を悪くしてしまったのかと不安になりどうしようかとおろおろしていると、不意に耳元にあの声が聞こえてきた。
『…結果は見えたでしょう?』
私は暗いお風呂場で、立ち尽くすしか出来なかったのでした。
fin