名残
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「今日もとっても楽しかったです!お邪魔しました」
「ええ。私もですよ」
その日も例の如く夜にだけ現れるレストランへ足を運んだナマエは、いつもの様にお邪魔させてもらいいつもの様に店を出て行こうとした。
「っ…え?」
一歩前に出れば店の外なのだが、歩き出そうにも何かに引っ張られている為前に進めない。何事かと思い振り返ると、ナマエの服の裾を少しだけ持ち、引っ張っているギャルソンの姿があったのだ。
「ギャルソン、さん?何か…」
「あっすみません…!えーっと…」
何か用があるのか尋ねるも、慌てて掴んでいた裾を放し、歯切れの悪い答えと必死に答えを模索しているかのようなギャルソン。
今までにそんな素振りは見た事が無かったナマエは、いったん店のドアを閉めてギャルソンの方へと向き直りゆっくりと答えるのを待っていた。
「えーっと…今日のお話、面白かったですか?」
「え?あ、はい。とーっても楽しかったですよ!」
「それは良かった、今日のお話は自信ありましたからね」
「そうなんですか、いつもよりも怖かったから道理で…」
「そうなんですよ、いつもよりも怖い話にしたので…」
「…」
「…」
無理に繋げた感じのある会話に、お互い笑顔ながらも妙な間が生まれてしまう。
間が生まれると、ギャルソンは目をキョロキョロさせながら悩んでいるようで、またぽつりぽつりと会話を繋げるのだった。
「こう、ちゃ。そう、紅茶は美味しかったですか?」
「えぇ、とっても。いつもすみません」
「いえいえ、こうして来て下さるならとびきり良い品だって揃えますよ」
「そ、そこまでしなくとも…」
「そ、そうですか…。…その、この前ですね、お客様で」
ナマエは思った。何故帰り際になって玄関先で立ち話をするのかと。こんなに必死そうに話すギャルソンの姿と、今から帰る自分。その二つを照らし合わせてみると、1つだけ答えが出てきたのだ。
「ギャルソンさん」
「…はい?」
「私ね、明日一日中暇なんです」
「あ…」
「だから時間、いーっぱいあるんです」
「…はい」
「もしよかったらなんですけど…」
その答えが嬉しくて、ナマエは自然と笑みがこぼれた。
ナマエが微笑みながらそういうと、ギャルソンは少しだけ目線を逸らして小さく嬉しそうに笑った。そして一度咳払いをし、ナマエの手を掴むと気恥ずかしそうに答えた。
「…もう少し居てください」
「…はい、わかりました」
上機嫌の##NAME1##とその手をとって嬉しそうに元来た部屋へを戻っていくギャルソンは、結局夜明け前まで時間を過ごしたのだった。
→おまけ
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