黒の愛
夢小説設定
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「許さない」
出来る出来ないではなく許せない。そんな事は許さない。彼女の寝顔を見るのも、手を握るのも、声を聞くのも、柔らかな体を抱き寄せるのも全部全部全部。
妄想の中で彼女の肩を抱く男が憎くて憎くて仕方がなかった、何のためらいもなく手を繋ぐ男がずるくてずるくて仕方なかった、嬉しそうに彼女と寝そべる男が恨めしくて恨めしくて仕方なかった、何度も何度も叫んで、憎んでも怨んでもそんなのじゃ足りなくて、彼女と男を引き剥がして何度も何度も男を殺めた。足らないそんなのじゃ足らない私のナマエを奪うなんて許されない彼女は私だけの彼女でいるのだ死んでもずっと渡さない絶対に
「いっ…!」
「あ…」
気が付くとナマエの手を強く握っており、痛みに少しだけ顔を歪めていた。そんなナマエに気付き慌てて力を緩め、そして深呼吸をしては一人歩きした妄想に熱くなりすぎた事を後悔したのだった。
「…こんな感情まで育つなんてね」
黒くどろどろとした歪な塊が胸に捩じ込まれていく。彼女を想えば想うほど同じく増えていくこのどす黒い感情は、いつまで続くのだろうか。
「ん…あれ…?」
「ナマエさん、おはようございます。と、言っても3時半ですけどね」
「え!わ、私寝ちゃって…起こしてくれてもよかったのに…」
「いやぁ、よく寝てましたのでね。起こすのも可哀想で」
やっと起きた悩みの種は、寝ぼけ眼でこちらをみつめて恥ずかしそうに笑っていた。
今は、いいのだ。今は。
こうして私に笑いかけてくれている内は。
「ねえナマエさん」
「あ、はい!なんでしょうか?」
「死ぬほど愛してると言ったら矛盾しますかね?」
「…え?」
今だけは、私だけの世界
fin.
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