痕の祭り
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熱い脈動
漏れる嗚咽
歪む表情
軋む首の骨
嗚呼!止まらない止まらない!堪らないのだ!
悪夢のような状況なのに、私の期待と興奮は収まらない。
いつかこうしてしまう時が来るのを拒んでいたはずなのに、私はずっと待ち望んでいたのだ。
絶対に月夜が良いと思った、絶対に白い服を着てきた時が良いと思った、絶対に笑顔になってくれた時が良いと、ずっと、ずっと。
嗚呼なんという感触なのだろう!人とはこんなにも温かく脆いのだ!
無いはずの体重を掛けて手の力を強めれば、細い首筋が更に細くなっていく。
力を入れれば入れるほど、無いはずの呼吸が荒くなり、感じるはずの無い快感が無いはずの身体を電流のように駆け巡っていく。
嗚呼息をして!死んでしまう!私が愛したのは生きている貴女なのに!誰か、誰か助けてあげて!
心の中で私が叫ぶ、叫ぶ、助けて助けてあげたいと叫ぶのに、私はそれよりも、もっと大切な事を考えていた。
生きた貴女の美しさ、それはそれは魅力的で、無い命を差し出しても惜しくなかったのです。
でも、あの時の顔が忘れられない。痛みに顔を歪ませる貴女が、血が流れその肌を伝うあの光景が!嗚呼あれがいけなかったのですよ!貴女が悪い!悪い子です!
爪を立ててやると徐々に肌へと突き刺さる。爪を抜けばほら、止まってた血流が、そこから溢れて垂れていく。
勿体無い勿体無い!嗚呼美味しいですこんな味がするんですか美味しいですよ!貴女が私に浸透していく!
無いはずの味覚を舌で堪能し、ややあって息をしていない事に気付くと、好きなだけ首にむしゃぶりついた。もっといっぱい欲しくて、自前の鋭利で便利な爪を思いっきり喉へと突き刺すと、温かな水しぶきを顔中に浴びていた。
素敵です愛してますこんなに満たされて幸せです一生このままで居たい綺麗です本当に綺麗で
不意に顔を上げて彼女を見下ろせば、真っ赤だけど寝てるみたいな表情で、ちょっと小突けば起きてくれるんじゃないかと思えた。
「無いはずなんですけどね、物欲なんて」
よく見ればほら、私には何一つ、赤なんてついてなかった。
fin
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