ごろごろ
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ナマエが残念そうに化け猫の顔を撫でると、化け猫はその度に見えない地肌を青ざめさせた。
理由は多々ある。まずひとつ、目の前に居る支配人に休憩時間なんてもらってない事。ふたつ、触られるたびに彼女の好感度が上がっていくが比例して支配人の好感度がだだ下がりな事。そしてみっつ、何より目の前に居る支配人が死ぬほど彼女が好きで嫉妬深くまだ自分もそんなこと去れたこと無いのにと殺気だっている事だ。
一刻も早くこの場を立ち去りたい気持ちでいっぱいになり、無理やり理由を付けて立ち去ろうとするのだが、ギャルソンは笑ってない笑顔のまま化け猫を見つめてはこういうのだった。
「ああ、まだ休憩してていいから。3人でもう少し話しをしようじゃないか」
積んだ。
化け猫は既に無い命をここで散らすのだと確信した。
嬉しそうなナマエと死を覚悟した化け猫、相変わらず笑顔のギャルソンと複雑で私怨の入り乱れる会話が繰り広げられる事となった。
「ねえナマエさん」
「はいギャルソンさん」
「化け猫と話すのは初めてじゃないのですか?」
「え?そんな、ずっと前からお話してましたよ?」
「そうなのですか。私は初めて二人が喋ってるのを見ました」
「そういえば…化け猫さんと話してる時って、いつもお店の隅っこだったような…」
化け猫は思い出していた。ナマエがこの店へ遊びに来て間もない頃、ギャルソンとした約束を。
(あの子は特別なお客様だから驚かせたり怖がらせたらダメですからね。…無断で手を出すなよ)
生きた人なんて滅多に来ない。しかも可愛い子ときたのでギャルソンの目を盗んでは二人でこそこそと遊んでいたのだ。
「ねえナマエさん」
「はいギャルソンさん」
「化け猫とはいつもどんな事をしていたのですか?」
「うーん…お皿拭くのを手伝いながら話したり、今日みたいに触らせてもらうのが多いですね!」
「お皿まで拭いてくださったんですか、道理で綺麗な皿と半端に拭いてある皿がある訳だ」
「何か手伝いたくてつい…しっかり磨いていたつもりだったのですが…」
「とんでもない、綺麗な皿はナマエさんが拭いたものですよ。細かい事まで気付くのは貴女ですからね」
化け猫は思い出した。皿を拭く仕事が嫌だと駄々をこね、ナマエが手伝おうとしてくれた事を。
(ナマエさんが手伝うと言っても自分の仕事だという事を忘れないで下さいね。…影でそんな事させてたらただじゃおかないからな)
手伝いますよ、と言われ仕事がはかどる上にナマエとお喋り出来るのだからと全く遠慮せずにさせていたのだ。
「ねえナマエさん」
「はいギャルソンさん」
「…しばらく猫を借りていきますね。直ぐに戻って来ますから。」
「あら、仕事ですか?私も手伝いますよ」
「いえいえ、先に奥の部屋でお待ちください。…力仕事なんで」
化け猫は思った。さようならナマエちゃん。
ギャルソンに首根っこを掴まれながら店の奥へと消えていく化け猫。ナマエは笑顔で手を振る。
化け猫は涙目になりながらも最後の力を振り絞り、笑顔で手を振り返したのだった。
ナマエが奥の部屋に入り、椅子に腰を下ろした途端。
ふぎゃああああ!!
「!?」
聞いた事の無い悲鳴が店中に響き渡ったのだった。
fin
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