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信じられた人の話

随分とたくさん殺しちまった。

この国の未来を、行く末を

幕府を倒して、武士の時代を終わらして、虐げられてきた者たちが救われるようなそんな日本を見せてやる。

そんな妄言を喚き散らし、酒をあおり。
そんな俺を目をキラキラさせながら見てくれた、
疑うことなくついてきた。
そんな阿呆なお調子者たちを俺はたくさん死なせちまった。

真っ暗な牢の中の静かさとは裏腹に
地下水のように言葉が溢れてくる。


何が尊王、何が維新、何が攘夷。
結局何一つとして変わりゃしねぇ。

天皇陛下を本気で神様と思ってる奴らがどんだけいるってんだ。
体裁のいい旗印、むしろ人でない方がちょうどいいっていうやつらもいらぁ。

たたかって、たたかって、幕府を倒すためにいっぱい死んで
結局待ってたのは切腹よ。

うまく立ち回った奴らはきっとこの先英雄だろうさ。俺とおんなじことをしてきたくせに。

大義だなんだのいったって
結局選ばれるのは人の都合だ。
とっくの昔に神様なんざいやしないんだ。
血潮が沸くほど張り切って頑張って
待ってた先に居たのは俺とおんなじ人間だ。


この身一つで名を挙げて
アホみたいな話を夜半に叫び回り

問題ごとなんて山積みで、
なんもわかっちゃいなかったが

ひたすら走り続けてたどり着いたこの最果ては

あいつらに語ってやってたほどのいいもんじゃなかったが

結局俺もおっ死んじまうわけだが

まぁ…そのなんだ。

…悪かねぇな。


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