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カプなし、カプ未定、他キャラ

 太陽ってどんななん?
 いつ、誰に聞いたんかも覚えてへんそれの答えは何やったか。まったく思い出せへん。黒い空に変わらず浮かぶ小さい点と、手のひらくらいのでっかい丸。
 あぁ、そうや。たしかあれが太陽なんやっけ。
 空に浮いとって、でかくて、明るくて丸い。そうやそうや。確かにそんな感じのこと、あん時も言うとったわ。
 黒い空の一部が白っぽく染まってきよった。俺の世界が消えていく。
 そろそろ帰らんとなぁ。あぁ、寒いなぁ。ん? あいつ誰や。
 どんどん俺の世界を塗りつぶしていく白が広がっとる方に、誰かおった。あんま俺以外の誰かがおんのを見たことなかったから、ちょっと気になって足を止める。
 あんた、どこから来たん。
 そう声をかけたら、被ってた覆いをとってそいつはこっちを見た。
 太陽が、そこにおった。
 そいつは人の形をした太陽やった。白い光を受けて銀色に光りよる髪も、そこにちょっとだけ見える青色も、長い前髪の隙間から見える目の色も、たっとる姿さえも、そいつはあの黒い空にいつも浮かんどる大きくて明るい太陽やった。
 あんた、名前は?
 そう聞いたら、そいつは越知月光と答えた。



 青い空に浮かぶ月を、今日も見上げる。
 あれを月と呼ぶのかは知らなかったが、空に浮かぶものであると言うにはあれ がそうなのだろう。
 祖母に聞いたところによると、月とは空に浮かぶ丸くて白く輝くものであると言う。ならばやはり、見上げるあの空に浮かぶ唯一の光こそが月なのだ。
 真っ直ぐに見上げれば目を焼き、なおも見続けると白く強い光の他に赤や緑の丸い光が重なるように見えてくる。
 青かった空が赤く染まっていく。
 帰らなければ。
 家路を急ごうと足を動かすと、最近交流を持つようになった友人を見つけた。
 何をしている、と声をかける。
 そいつは月のような姿をしていた。明るい笑みに陽気な声、触れる手はいつも熱くこの身を焦がそうとする。何よりも、その髪の纏う色は今の空のように月が 放つ一時の色を帯びている。
 またな、と言われるたびに胸が弾む。
 月のようなその友人は毛利寿三郎と言った。
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