立海大附属中学校調理部副部長の私。丸井に負けない最高のケーキを作ることが今の目標!部長の代わりに出席した生徒会会議で書記の柳蓮二くんを見てからドキドキする…
※両想い前提
お前は確かA組の…
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「暗算で勝負しろ!」
椅子に座り本を読む蓮二の目の前に仁王立ちし、電卓を机に叩きつける。
「こら、壊れるだろう」
「あ、ごめん。」
蓮二に窘められ慌てて電卓を手に取り壊れていないか確認する。よかった。どこも壊れていないようだ。
「いやそうじゃなくて!私と暗算で勝負しろ!」
「いきなり何だ…というか、暗算に電卓は必要ないだろう」
「私は電卓で計算するの」
「お前には暗算の意味から説明した方が良いようだな」
読んでいた本を閉じて大きなため息をつく蓮二を無視して電卓のスイッチを入れる。
「いいからやるよ!願いましては…」
「待て」
「何」
「勝負と言うからには、何か賭けるものが常識じゃないのか?」
「何かって言うと?」
「そうだな、例えば…」
蓮二が少しわざとらしく何か考え事をする動作をしてみせる。こう言う時はたいていろくなことを考えていないのだと分かったのはつい最近のことだ。
「お前が負けたら、今日1日俺の言う事を聞いてもらおうか」
「…なにそれ、バカップルみたい」
「なんとでも。お前が勝ったら、お前が前から行きたいと言っていた駅前のアフタヌーンティーでも行こうか」
「ぜってえ勝つ」
電卓を強く握りながら、いつも通り聞き流していると思っていた、随分前に話したアフタヌーンティーの話を覚えていてくれたことに心を踊らせる。普段部活で忙しくなかなか会えない蓮二とアフタヌーンティーに行けるまたとないチャンスだ。絶対に負けられない。
「行くぞ!願いましては…」
「163278」
「…こんなのおかしい」
「これで5勝0敗、俺の勝ちだ」
「蓮二なんなの?なんで電卓の私より早いの?」
「碧海がぱっと数字を読めないのが悪いだろう」
「いや冷静に考えて十万の位とかパッと見でわかんないじゃん」
さて、何をしてもらおうかと蓮二がまたわざとらしく考える素振りをする。一体どんな無茶振りを要求されるのだろうか。嫌な予感しかしない。
「今週の土曜日は練習試合だから、弁当を作ってきてくれ」
「え、そんなんでいいの?」
予想外の要求に拍子抜けた声が出た。
「もっと奴隷みたいな要求されるかと思った」
「碧海は俺を鬼畜生か何かだと思っているのか?」
私がなんだよと安心していると、蓮二がああそれともう1つ、と指を立てる。
「なんだよ、1つじゃないの?」
「誰も要求は1つとは言っていないからな」
「オーケーわかったよなんでも言えよ」
「今週中にまとめておきたいデータが30件程あるのだが、それを手伝って貰おうか」
あまりの衝撃的な数に耳を疑う。30件?1件でだいたい早くて2時間かかるとして、全部で60時間…?
「え、ちょっと待って。30件?」
「ああ、30件だ。と言っても、個人的に集めたいと思ったデータも入っているからそう時間がかかる訳では無い。碧海にはそのうちの参考文献からの単語のリストアップをやってもらおうか」
蓮二は簡単そうにそういうが、私は蓮二が1つのデータを集める時に何十の単位で参考文献に目を通していることを知っている。
「前言撤回。バカップルのバの字もないわ、ただの地獄」
「言い出したのは碧海だぞ」
「それから最後に1つ」
「もう勘弁して」
私が文句のひとつでも言おうとする間もなく蓮二がまた口を開く。
「お前からキスしてみろ」
「え、無理」
反射的に無理と言い切ってしまった。
「思い返してみればお前からした事は1度も無かったなと思ってな。ちょうどいい機会だ、やってみろ」
「いやいやいや待って、それは無理」
「何故だ」
なんでって…とどもりながら、少ない頭で必死に考える。
「やり方わかんないし」
「ネットで調べろ」
この野郎。
「自分から顔近づけるとか身長的に無理だし」
「椅子にすわってやる」
「いやでも…」
「碧海」
蓮二にじっと見つめられ(正確には目はこちらからは見えていないが)ぐ、と反論出来なくなる。
「わかったよ、やればいいんだろやれば」
こうなればもうやけだ。キスでもなんでもやってやる。
「ちょっと待って、Googleに聞くから」
「本当に調べないと分からなかったのか…」
うるさいな。と思いながら携帯を開いて検索をかける。
「えっと…まず蓮二、座って」
「座ってる」
「目は瞑っても瞑らなくてもいい…蓮二、目つぶって」
「もう閉じている」
いや蓮二の場合瞑ってるのか開いてるのかわかんねえよと内心突っ込みながら記事を読み進める。
自分からキスをする場合は、自分は目を開けていてもいい…まあそれは違うところに当たるのを防ぐためだろう。そこは恥ずかしいので自分も瞑ることにした。
「よ、よっしゃ…やるぞ…」
椅子に座って目を閉じている(本当に閉じているかはわからないが)蓮二にゆっくりと近づく。蓮二の足に膝をつき、少しづつ身を乗り出して目を閉じる。
「…フッ」
あと少し、という所で蓮二の吹き出す声がした。
「あ、蓮二絶対目開けてただろこの野郎!!!!」
「いや、開けていない…っく」
肩を震わせて笑いを堪えながら蓮二が答える。
「肩震わせながらじゃ説得力ないわくそ!」
あーもうやる気失せた!と言って私は机に座る。
窓から急に風が吹いて、カーテンを激しく揺らした。
と、視界が急に黒くなり、頬と唇に何かが当たっている感触がした。
蓮二が椅子から立ち上がって私の顔を掌で掴み唇を押し当てていると理解するのに少し時間がかかった。
「やはり碧海はこっちの方が向いているようだな」
蓮二が椅子に戻る。
私はただあ、うあ、と間抜けな声を出すばかりなのだった。
椅子に座り本を読む蓮二の目の前に仁王立ちし、電卓を机に叩きつける。
「こら、壊れるだろう」
「あ、ごめん。」
蓮二に窘められ慌てて電卓を手に取り壊れていないか確認する。よかった。どこも壊れていないようだ。
「いやそうじゃなくて!私と暗算で勝負しろ!」
「いきなり何だ…というか、暗算に電卓は必要ないだろう」
「私は電卓で計算するの」
「お前には暗算の意味から説明した方が良いようだな」
読んでいた本を閉じて大きなため息をつく蓮二を無視して電卓のスイッチを入れる。
「いいからやるよ!願いましては…」
「待て」
「何」
「勝負と言うからには、何か賭けるものが常識じゃないのか?」
「何かって言うと?」
「そうだな、例えば…」
蓮二が少しわざとらしく何か考え事をする動作をしてみせる。こう言う時はたいていろくなことを考えていないのだと分かったのはつい最近のことだ。
「お前が負けたら、今日1日俺の言う事を聞いてもらおうか」
「…なにそれ、バカップルみたい」
「なんとでも。お前が勝ったら、お前が前から行きたいと言っていた駅前のアフタヌーンティーでも行こうか」
「ぜってえ勝つ」
電卓を強く握りながら、いつも通り聞き流していると思っていた、随分前に話したアフタヌーンティーの話を覚えていてくれたことに心を踊らせる。普段部活で忙しくなかなか会えない蓮二とアフタヌーンティーに行けるまたとないチャンスだ。絶対に負けられない。
「行くぞ!願いましては…」
「163278」
「…こんなのおかしい」
「これで5勝0敗、俺の勝ちだ」
「蓮二なんなの?なんで電卓の私より早いの?」
「碧海がぱっと数字を読めないのが悪いだろう」
「いや冷静に考えて十万の位とかパッと見でわかんないじゃん」
さて、何をしてもらおうかと蓮二がまたわざとらしく考える素振りをする。一体どんな無茶振りを要求されるのだろうか。嫌な予感しかしない。
「今週の土曜日は練習試合だから、弁当を作ってきてくれ」
「え、そんなんでいいの?」
予想外の要求に拍子抜けた声が出た。
「もっと奴隷みたいな要求されるかと思った」
「碧海は俺を鬼畜生か何かだと思っているのか?」
私がなんだよと安心していると、蓮二がああそれともう1つ、と指を立てる。
「なんだよ、1つじゃないの?」
「誰も要求は1つとは言っていないからな」
「オーケーわかったよなんでも言えよ」
「今週中にまとめておきたいデータが30件程あるのだが、それを手伝って貰おうか」
あまりの衝撃的な数に耳を疑う。30件?1件でだいたい早くて2時間かかるとして、全部で60時間…?
「え、ちょっと待って。30件?」
「ああ、30件だ。と言っても、個人的に集めたいと思ったデータも入っているからそう時間がかかる訳では無い。碧海にはそのうちの参考文献からの単語のリストアップをやってもらおうか」
蓮二は簡単そうにそういうが、私は蓮二が1つのデータを集める時に何十の単位で参考文献に目を通していることを知っている。
「前言撤回。バカップルのバの字もないわ、ただの地獄」
「言い出したのは碧海だぞ」
「それから最後に1つ」
「もう勘弁して」
私が文句のひとつでも言おうとする間もなく蓮二がまた口を開く。
「お前からキスしてみろ」
「え、無理」
反射的に無理と言い切ってしまった。
「思い返してみればお前からした事は1度も無かったなと思ってな。ちょうどいい機会だ、やってみろ」
「いやいやいや待って、それは無理」
「何故だ」
なんでって…とどもりながら、少ない頭で必死に考える。
「やり方わかんないし」
「ネットで調べろ」
この野郎。
「自分から顔近づけるとか身長的に無理だし」
「椅子にすわってやる」
「いやでも…」
「碧海」
蓮二にじっと見つめられ(正確には目はこちらからは見えていないが)ぐ、と反論出来なくなる。
「わかったよ、やればいいんだろやれば」
こうなればもうやけだ。キスでもなんでもやってやる。
「ちょっと待って、Googleに聞くから」
「本当に調べないと分からなかったのか…」
うるさいな。と思いながら携帯を開いて検索をかける。
「えっと…まず蓮二、座って」
「座ってる」
「目は瞑っても瞑らなくてもいい…蓮二、目つぶって」
「もう閉じている」
いや蓮二の場合瞑ってるのか開いてるのかわかんねえよと内心突っ込みながら記事を読み進める。
自分からキスをする場合は、自分は目を開けていてもいい…まあそれは違うところに当たるのを防ぐためだろう。そこは恥ずかしいので自分も瞑ることにした。
「よ、よっしゃ…やるぞ…」
椅子に座って目を閉じている(本当に閉じているかはわからないが)蓮二にゆっくりと近づく。蓮二の足に膝をつき、少しづつ身を乗り出して目を閉じる。
「…フッ」
あと少し、という所で蓮二の吹き出す声がした。
「あ、蓮二絶対目開けてただろこの野郎!!!!」
「いや、開けていない…っく」
肩を震わせて笑いを堪えながら蓮二が答える。
「肩震わせながらじゃ説得力ないわくそ!」
あーもうやる気失せた!と言って私は机に座る。
窓から急に風が吹いて、カーテンを激しく揺らした。
と、視界が急に黒くなり、頬と唇に何かが当たっている感触がした。
蓮二が椅子から立ち上がって私の顔を掌で掴み唇を押し当てていると理解するのに少し時間がかかった。
「やはり碧海はこっちの方が向いているようだな」
蓮二が椅子に戻る。
私はただあ、うあ、と間抜けな声を出すばかりなのだった。
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