立海大附属中学校調理部副部長の私。丸井に負けない最高のケーキを作ることが今の目標!部長の代わりに出席した生徒会会議で書記の柳蓮二くんを見てからドキドキする…
第1冊目
お前は確かA組の…
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きつね色に焼きあがって少し冷ましたタルトに、小さく切ったスポンジ、カスタードクリーム、生クリームをのせて、苺と粉砂糖で可愛くお化粧させる。これが私のスペシャリテだ。けれどここ数日、何度作ってもどうも美味しいと感じない。レシピも手順も頭の中に入っていて、分量だって学校が用意してくれた精密な計量器のおかげで一部の狂いもない。それなのに…
(こんなの作ってちゃ、後輩達に示しがつかないな…)
記録用に写真を何枚か撮り、部誌に作ったものと材料を書いていく。感想、味がぼんやりしていていまいち評価に欠ける、と。
「私は美味しいと思ったけど?」
横からひょっこりと環奈が顔を出す。
「環奈、ビーフシチュー終わってないでしょ?」
「今は煮込み中〜」
隣に座って私の消しゴムをころころ転がして遊ぶ。環奈は可愛いからついつい許してしまうのだ。
「碧海、何か悩んでる?タルトも最近納得いかないみたいだし」
「う〜ん…」
「恋煩いとか?」
環奈がにやにやしながら聞いてくる。面白がってるな。
「…そうかもしれない!環奈、どうしよう。私書記の柳くんのこと好きになっちゃったかも!」
環奈にぎゅっと抱きついて、耳元で皆に聞こえないように話した。環奈がえっ、マジ?と耳元で囁く。
「柳くんって、テニス部の?」
あまり声を出したくないから抱きついたまま頷いて返事をする。今日の環奈はバラの匂いがする。
「クラス一緒になったこと無いよね?なんで急に?」
「この間の生徒会会議で、丸井に柳くんに本返しておいてくれって頼まれたんだけど、会議の時からかっこよすぎて…もう…ヤバくて…」
「碧海が何言ってるかちょっとよく分からないけど」
そっか〜、柳くんね、確かにイケメンだった気がするわ、と言いながら環奈が私のシャーペンを勝手に取って部誌に何やら書き出す。柳くんか。その隣には何故か猫。そして私のスペシャリテの苺タルト。最後に、なぜか丸井の親友の桑原。確かによく一緒に遊びに来るけども。環奈の自由ぶりに思わず吹き出した。
「あ、そうだ碧海」
「なに」
「柳くんテニス部でしょ?真田くんと柳生くん頼んで接点作って貰いなよ」
「真田!?無理無理、絶対睨まれる!怖い!」
真田は席が近いからすぐにわかる。よく天パの後輩が遊びに来た所をたわけ!と一喝しているあの人だ。そんな人に話しかけたら死んでしまうかもしれない。
「真田くんは優しいよ」
「それは環奈の顔が最強に可愛いかりだって…」
「じゃあ、柳くんへの差し入れだけでも許可してもらいなよ。真田くんも流石にそんな事では怒らないでしょ。ワンチャンだよ、ワンチャン」
ワンチャン使ってみたかっただけだろ、と心の中でツッコミつつも、環奈の天才ぶりに感動すらしていた。
「環奈、大好き。天才すぎる」
早速調理室の後ろにあるレシピ本が大量に蔵された本棚を開き、差し入れに丁度よさそうなものを探す。気付けば環奈はビーフシチューの仕上げに向かっていて、私のタルトも各部員に配られていた。慌てて本を片付けようと本の端に目をやると、きっと環奈が後輩に指示してくれたのだろうお茶がすっかり冷めてしまっていた。
(こんなの作ってちゃ、後輩達に示しがつかないな…)
記録用に写真を何枚か撮り、部誌に作ったものと材料を書いていく。感想、味がぼんやりしていていまいち評価に欠ける、と。
「私は美味しいと思ったけど?」
横からひょっこりと環奈が顔を出す。
「環奈、ビーフシチュー終わってないでしょ?」
「今は煮込み中〜」
隣に座って私の消しゴムをころころ転がして遊ぶ。環奈は可愛いからついつい許してしまうのだ。
「碧海、何か悩んでる?タルトも最近納得いかないみたいだし」
「う〜ん…」
「恋煩いとか?」
環奈がにやにやしながら聞いてくる。面白がってるな。
「…そうかもしれない!環奈、どうしよう。私書記の柳くんのこと好きになっちゃったかも!」
環奈にぎゅっと抱きついて、耳元で皆に聞こえないように話した。環奈がえっ、マジ?と耳元で囁く。
「柳くんって、テニス部の?」
あまり声を出したくないから抱きついたまま頷いて返事をする。今日の環奈はバラの匂いがする。
「クラス一緒になったこと無いよね?なんで急に?」
「この間の生徒会会議で、丸井に柳くんに本返しておいてくれって頼まれたんだけど、会議の時からかっこよすぎて…もう…ヤバくて…」
「碧海が何言ってるかちょっとよく分からないけど」
そっか〜、柳くんね、確かにイケメンだった気がするわ、と言いながら環奈が私のシャーペンを勝手に取って部誌に何やら書き出す。柳くんか。その隣には何故か猫。そして私のスペシャリテの苺タルト。最後に、なぜか丸井の親友の桑原。確かによく一緒に遊びに来るけども。環奈の自由ぶりに思わず吹き出した。
「あ、そうだ碧海」
「なに」
「柳くんテニス部でしょ?真田くんと柳生くん頼んで接点作って貰いなよ」
「真田!?無理無理、絶対睨まれる!怖い!」
真田は席が近いからすぐにわかる。よく天パの後輩が遊びに来た所をたわけ!と一喝しているあの人だ。そんな人に話しかけたら死んでしまうかもしれない。
「真田くんは優しいよ」
「それは環奈の顔が最強に可愛いかりだって…」
「じゃあ、柳くんへの差し入れだけでも許可してもらいなよ。真田くんも流石にそんな事では怒らないでしょ。ワンチャンだよ、ワンチャン」
ワンチャン使ってみたかっただけだろ、と心の中でツッコミつつも、環奈の天才ぶりに感動すらしていた。
「環奈、大好き。天才すぎる」
早速調理室の後ろにあるレシピ本が大量に蔵された本棚を開き、差し入れに丁度よさそうなものを探す。気付けば環奈はビーフシチューの仕上げに向かっていて、私のタルトも各部員に配られていた。慌てて本を片付けようと本の端に目をやると、きっと環奈が後輩に指示してくれたのだろうお茶がすっかり冷めてしまっていた。