5話 こんな大人になれたらいいのに。

「泊まりだから、ちゃんと着替えとかも持って来いよ」
「わかりました。勝負下着を着けて行きますね」
「別にいいけど、お披露目の機会はないからな」
「むう……」

 膨れ面をする私のおでこを、卯月さんは人差し指で軽く小突いた。かと思ったら、今度は頭を撫でてくる。最近、卯月さんからのスキンシップが多い気がする。
 彼の真意は測りかねるけど、くまちゃんを同伴する以上、怪しいことをする気はないと思う。とはいえ、若い男女がひとつ屋根の下、何が起きても不思議じゃない。一抹の期待を捨てきれず、私は悶々としながら週末を迎えることとなった。

・・・

 その日は晴天に恵まれた。卯月さんの部屋に行くのは夕方の予定。それまではくまちゃんとお散歩に出掛けたり、部屋の掃除を済ませたり、細々なことをやりつつ約束の時間までを過ごす。
 刻一刻と時間が近づく度に、私のテンションもうなぎのぼりに上がっていく。なぜなら今日は初めてのお泊まりなのだから……!

 明日のお昼まで卯月さんと一緒にいられる。それが純粋に嬉しいし、もしかしたら何かが起こるかも、なんて期待に胸を膨らませる。今日の為に新調した勝負下着を身をつけて、意気揚々と出掛けた私に待っていたのは、これ以上ない卯月さんからのサプライズだった。

「え……何これ……!?」

 素っ頓狂な声を上げた私に、「すげぇだろ」と卯月さんは誇らしげに笑う。シンプルでスタイリッシュだった部屋全体が、おうち縁日風に様変わりしていた。
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