4話

「これ食ったらまた適当に歩くか」
「うん……」

 手に宿る温もりを感じながら私は小さく頷く。もう一度花火を見上げても、繋がれた手に意識が集中してしまう。
 卯月さんにとって私は「ちょっと面倒見てやらなきゃいけない女の子」程度にしか思っていないはずだけど、こんな風にドキドキさせることもさらりとやってのけるから困る。急に名前で呼んだり、手を繋いできたり、それだけで私は動揺してしまうのに。肝心のこの人は涼しい顔をしているのが歯がゆい。たった4つ差なのに、こんなにも違うものなのかな。
 私だって今まで色んな男の子と遊んできた。こんなことは慣れているはずだった。なのに相手が卯月さんだと意味もなく緊張してしまう。兄妹の理想像を重ねているだけと思ってたけど、やっぱり、それだけじゃない気もする。

 整理できない感情を持て余したまま、私は静かに瞬く花火を眺めていた。また名前で呼ばれたらどう反応したらいいんだろう―――なんて思いながら。
19/19ページ
スキ