4話

「『残業了解です! お仕事頑張ってね!』っと」

 指先でそう入力して送信ボタンを押す。既読はすぐにつかないだろうけど、数時間後には彼からの返信が来る。そう思うだけで心の中がぽかぽかと温かくなる。自然と笑顔になってしまう自分がいて、こんな些細なやり取り一つで、私の心は満たされていくのだと実感した。

 ―――卯月さんって、本当に面倒見がいいよね。

 それが最近の彼に対する評価だ。出会った時はクールで尖った印象が強かったけど、今となってはそんなイメージは払拭されている。素の卯月さんはよく笑うし、ノリもいい。冗談を言えば倍の勢いで畳みかけてくるし、私がヘコんでいればストレートに励ましてくれる。
 若干俺様気質だし、最初の頃は口の悪さばかり目に付いていたけれど、今では全く気にならない。むしろその飾らない言動が、卯月さんの魅力だとすら思う。

 最近はセフレ君達とも会っていない現状だ。連絡は来るけれど、ラインで何度かやり取りするだけ。昨日もタケくんから「久しぶりに飲まない?」と誘われたけど、「バイトがあるからごめんね」とお断りしてしまった。
 幾度と来る誘いを毎回断ることに罪悪感が湧くけれど、以前のように誰かと一夜を過ごしたいとは、今は思わない。理由は明白。卯月さんとの時間の方が楽しいと感じているから。卯月さんを思えば、寂しい気持ちが吹き飛ぶから。

 今ならわかる。セフレ君達と刹那的な快楽に溺れても、目が覚めれば虚無の時間が必ず訪れる理由。それは私が本当に欲している愛情を、彼らは与えてくれないからだ。
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