3話
彼はそれ以上は何も語らなかった。元カノとはいえ、自分達の事情を他人に深堀りされたくないのだと思う。私も追及しなかった。彼らがちゃんと別れた後という事実さえわかればそれで十分。
唯一気になることがあるとすれば、私が初めて卯月さんに会ったあの日だ。早朝に、アパートの階段から下りてきた卯月さんの姿が脳裏に浮かぶ。もしかしたら彼の元カノは、私のアパートの住民かもしれない。その事実を打ち明けるかどうか悩んで、結局やめた。
卯月さんにとってはもう、終わったことだ。もし恋人がアパートの住人だったとしても、別れたのなら部屋に来ることもないだろうし。私が変に口出しするのもよくない気がする。
彼の様子を見る限り、私と初めて会った時のことは覚えていなさそうだ。すれ違いざまに軽く会釈した程度だし、記憶には残っていないみたい。先日はアパートの近くまで送ってくれたけど、そこそこ距離はあったから、私がどこに住んでいるのかまでは把握していないはず。
「くまちゃん、卯月さんがお部屋に遊びに来いって言ってるよ。どうする?」
「わうっ」
「行きたいって!」
「じゃあ決まりな」
同意を得たことで会話はまとまった。その後は2人(+1匹)で近くのスーパーに向かい、昼食用の材料を購入する。卯月さんはくまちゃんにもドックフードを買ってくれた。
「そういえば、なんで急に敬語なんだよ?」
「卯月さん年上だし、タメで話すと怒られそう」
「んなことで怒るかよ」
袋詰めしながら卯月さんは笑う。本当によく笑ってくれるから私も嬉しくなる。今日は純粋に、ランチを楽しむためだけに彼の部屋にお邪魔するんだ。そんな私達の間にはもう、警戒心なんてものは無かった。
唯一気になることがあるとすれば、私が初めて卯月さんに会ったあの日だ。早朝に、アパートの階段から下りてきた卯月さんの姿が脳裏に浮かぶ。もしかしたら彼の元カノは、私のアパートの住民かもしれない。その事実を打ち明けるかどうか悩んで、結局やめた。
卯月さんにとってはもう、終わったことだ。もし恋人がアパートの住人だったとしても、別れたのなら部屋に来ることもないだろうし。私が変に口出しするのもよくない気がする。
彼の様子を見る限り、私と初めて会った時のことは覚えていなさそうだ。すれ違いざまに軽く会釈した程度だし、記憶には残っていないみたい。先日はアパートの近くまで送ってくれたけど、そこそこ距離はあったから、私がどこに住んでいるのかまでは把握していないはず。
「くまちゃん、卯月さんがお部屋に遊びに来いって言ってるよ。どうする?」
「わうっ」
「行きたいって!」
「じゃあ決まりな」
同意を得たことで会話はまとまった。その後は2人(+1匹)で近くのスーパーに向かい、昼食用の材料を購入する。卯月さんはくまちゃんにもドックフードを買ってくれた。
「そういえば、なんで急に敬語なんだよ?」
「卯月さん年上だし、タメで話すと怒られそう」
「んなことで怒るかよ」
袋詰めしながら卯月さんは笑う。本当によく笑ってくれるから私も嬉しくなる。今日は純粋に、ランチを楽しむためだけに彼の部屋にお邪魔するんだ。そんな私達の間にはもう、警戒心なんてものは無かった。