2話

 それを本人から聞いた時、こういう人って本当にいるんだなあ、くらいの感想しか浮かばなかった。特定の目的だけを共有するだけの不純な付き合い方は、時に人から反感を買うものだろうけど、私は逆に興味を抱いた。誰にも縛られない自由な関係、そこに憧れを抱いたんだ。

 1年の秋、初めてタケくんと一夜を共にした。最初は戸惑いや痛みばかりが先行したけれど、2度、3度と抱かれるうちに、次第に身体は慣れていく。そればかりか快感が増して、性に対して貪欲になった。一人で寂しかった夜も、彼といれば寂しくはなかった。

 エッチは気持ちいい。でも単なる肉体の営みだけじゃない。快楽を得る為に、相手と心を通じ合わせることが大事なんだと知った。
 相性を図るために会話が大切で、お互いの嗜好を理解する努力も不可欠。これもひとつのコミュニケーションの形。こんなやり方があるなんて、私は今まで知らなかった。それからだと思う、一夜の情事に心酔するようになったのは。

 そうして今の自分ができあがった。セフレ君の人数もかなり増えた。遊び人と揶揄されることもあったけど、私にとっては必要なことだから。気持ちよくなれて、心の距離を縮められて、寂しさを紛らわすことも出来る。だから誰と寝ても心の底から愉しめるようになった。

 彼らとの行為で寂しさを紛らわすなんて間違っているのかもしれない。依存してるだけなのかもしれない。それでも構わなかった。恋愛とか嫉妬とか独占欲とか、そんな感情に囚われない気楽な関係性を築けるなら、それで十分だと思ってる。

 ―――思っていた。この時までは。
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