1話
覗き込むように彼を見上げてみる。口調はあくまでお願いする形で。上から目線ではいけない。
私の言葉に込められた誘いの意味に、彼もどうやら気付いたようだ。胡散臭そうな表情は変わらず、だけど瞳の奥には僅かに戸惑いの色が見える。
「……それ意味わかって言ってんの?」
「もちろん。お兄さん素敵だし、私好みだから」
媚びるような笑みを浮かべ、彼の太腿にそっと手を置く。女からのボディタッチに相手が満更でもなさそうなら、この後の流れは大抵上手くいく。
けれど彼は私よりも経験を踏んでいる大人の男性。今までのやり方が通用するのかはわからない。
余裕ぶって誘ってみたはいいものの、内心は緊張でドキドキだった。子供扱いされたくない一心で平静を装うも、声が上ずるのを必死で抑えているような有様だ。
対して彼は冷静だった。微動だにせず、無言で私の顔を見つめている。その射抜くような鋭い視線に怯みそうになったけど、ニコッと笑顔を作れば、はあ、と諦めたように小さくため息をついた。
鞄から名刺ケースとペンを取り出し、中から名刺を1枚取り出す。ひっくり返し、裏面にペンを走らせた後、無言で私に差し出してきた。
書き込まれた文字列を眺めてみる。マンションらしき名前と簡素な住所、部屋番号と携帯番号が記載されていた。
「今日来れる?」
彼は短く問い掛けてきた。私は名刺を受け取ったまま固まってしまう。まさか今日、いきなりお部屋の誘いを受けるとは思っていなかったので驚いた。連絡先を交換するだけでよかったんだけど……展開が早すぎて戸惑いを隠せない。
実は結構遊び人なのかな……と疑念が頭をもたげる。けれど結局、好奇心の方が勝った。ここまで来たなら行くしかない。
私の言葉に込められた誘いの意味に、彼もどうやら気付いたようだ。胡散臭そうな表情は変わらず、だけど瞳の奥には僅かに戸惑いの色が見える。
「……それ意味わかって言ってんの?」
「もちろん。お兄さん素敵だし、私好みだから」
媚びるような笑みを浮かべ、彼の太腿にそっと手を置く。女からのボディタッチに相手が満更でもなさそうなら、この後の流れは大抵上手くいく。
けれど彼は私よりも経験を踏んでいる大人の男性。今までのやり方が通用するのかはわからない。
余裕ぶって誘ってみたはいいものの、内心は緊張でドキドキだった。子供扱いされたくない一心で平静を装うも、声が上ずるのを必死で抑えているような有様だ。
対して彼は冷静だった。微動だにせず、無言で私の顔を見つめている。その射抜くような鋭い視線に怯みそうになったけど、ニコッと笑顔を作れば、はあ、と諦めたように小さくため息をついた。
鞄から名刺ケースとペンを取り出し、中から名刺を1枚取り出す。ひっくり返し、裏面にペンを走らせた後、無言で私に差し出してきた。
書き込まれた文字列を眺めてみる。マンションらしき名前と簡素な住所、部屋番号と携帯番号が記載されていた。
「今日来れる?」
彼は短く問い掛けてきた。私は名刺を受け取ったまま固まってしまう。まさか今日、いきなりお部屋の誘いを受けるとは思っていなかったので驚いた。連絡先を交換するだけでよかったんだけど……展開が早すぎて戸惑いを隠せない。
実は結構遊び人なのかな……と疑念が頭をもたげる。けれど結局、好奇心の方が勝った。ここまで来たなら行くしかない。