背中の距離
「ソファーじゃ身体を痛める」
心配する口調だが、結局自分が一番隣にいたいだけだ。
「……わ、わかったよ……今日だけね」
ようやく日奈子が折れた。
間接照明だけ残し、部屋の扉まで歩いて少しだけ開けておく。麦の自由な出入りを見越しての配慮だ。
再びベッドに戻ると、陸はすでに壁側を向いて横になっている。
日奈子も同じく背を向けて横たわった。
「……おやすみ、ひな」
背中越しに聞こえる柔らかい声。
「うん……おやすみ」
二人の距離は抱擁よりもずっと遠い。
それでもお互いの体温だけは微かに感じられる奇妙な近さ。
日奈子が照明を完全に落とすと、室内は月明かりに染まった。
カーテンの隙間から零れる青白い光が、並んだ肩のラインを淡く浮かび上がらせる。
(……どうしてこんなことになってるんだろう)
目を閉じながらも思考は冴える。
二日前に出会ったばかり、けれど昨日の朝まで一夜を共にした人。
それが今や同じ枕で寝ている。
(でも……嫌じゃない)
薄闇の中でシーツが擦れる音がした。
微かな布地の摩擦音。同時に背中に感じる体温。
陸が寝返りを打ったのではない。明らかに意図的に日奈子に近づいてきたのだ。
その距離の近さに日奈子の呼吸が浅くなる。
心配する口調だが、結局自分が一番隣にいたいだけだ。
「……わ、わかったよ……今日だけね」
ようやく日奈子が折れた。
間接照明だけ残し、部屋の扉まで歩いて少しだけ開けておく。麦の自由な出入りを見越しての配慮だ。
再びベッドに戻ると、陸はすでに壁側を向いて横になっている。
日奈子も同じく背を向けて横たわった。
「……おやすみ、ひな」
背中越しに聞こえる柔らかい声。
「うん……おやすみ」
二人の距離は抱擁よりもずっと遠い。
それでもお互いの体温だけは微かに感じられる奇妙な近さ。
日奈子が照明を完全に落とすと、室内は月明かりに染まった。
カーテンの隙間から零れる青白い光が、並んだ肩のラインを淡く浮かび上がらせる。
(……どうしてこんなことになってるんだろう)
目を閉じながらも思考は冴える。
二日前に出会ったばかり、けれど昨日の朝まで一夜を共にした人。
それが今や同じ枕で寝ている。
(でも……嫌じゃない)
薄闇の中でシーツが擦れる音がした。
微かな布地の摩擦音。同時に背中に感じる体温。
陸が寝返りを打ったのではない。明らかに意図的に日奈子に近づいてきたのだ。
その距離の近さに日奈子の呼吸が浅くなる。