夜の静けさと湯気の向こう
閉鎖空間での二人きりは息が詰まりそうだった。
ランチや水族館にいた時は、沈黙も全然平気だったのに。
今はどこか甘い緊張が、二人の空気を張り詰めている。
日奈子はそっと陸を横目で見た。
微動だにせず、背筋を伸ばしたまま立っている。
(何か話したほうがいいかな……)
けれどどんな言葉を選べばいいのか分からない。
結局何も会話することもなく、エレベーターが日奈子のフロアに到着し、扉が開いた。
部屋の前で立ち止まると、陸も足を止める。
「……鍵、閉めろよ。ちゃんと」
ポケットに手を入れたまま、陸が低い声で言った。
心配してくれているのだろうか。
日奈子は少し驚きながらも、感謝を込めて頷いた。
「うん。今日は誘ってくれてありがとう。すごく楽しかった」
素直な気持ちを伝えたつもりだ。
しかし陸は無反応だった。
視線が廊下の床に落ちて、また日奈子に戻る。
一瞬の沈黙があった後、陸がぼそりと呟いた。
「……泊まっていいか」
ランチや水族館にいた時は、沈黙も全然平気だったのに。
今はどこか甘い緊張が、二人の空気を張り詰めている。
日奈子はそっと陸を横目で見た。
微動だにせず、背筋を伸ばしたまま立っている。
(何か話したほうがいいかな……)
けれどどんな言葉を選べばいいのか分からない。
結局何も会話することもなく、エレベーターが日奈子のフロアに到着し、扉が開いた。
部屋の前で立ち止まると、陸も足を止める。
「……鍵、閉めろよ。ちゃんと」
ポケットに手を入れたまま、陸が低い声で言った。
心配してくれているのだろうか。
日奈子は少し驚きながらも、感謝を込めて頷いた。
「うん。今日は誘ってくれてありがとう。すごく楽しかった」
素直な気持ちを伝えたつもりだ。
しかし陸は無反応だった。
視線が廊下の床に落ちて、また日奈子に戻る。
一瞬の沈黙があった後、陸がぼそりと呟いた。
「……泊まっていいか」