水族館デート

 ――今度。
 その単語が、胸の奥で甘く響く。
 未来の約束をされているようで、日奈子の体温がじわりと上がった。

 「割引」の文字に釣られたのか、それとも「カップル限定」の文字に惹かれたのか。
 熱を孕んだ陸の眼差しを見れば、おのずと答えは出る。

「……夜の水族館って来たことないから、楽しみ」

 期待を込めてそう言うと、陸の口元がまた柔らかく綻んだ。

「……ああ」

 短いけれど確かな応え。
 二人はそのまま入場口へと歩みを進めた。
 繋がれた手の温度はもう離れようもなく、心地よい感覚となって、日奈子の身体にしっかりと刻まれていった。
6/13ページ
スキ