断片話

◆稀によくある不思議系アイテム


「拙者が使ってた玩具の穴と感覚共通してたとか……何処のエロ本ネタでござる?」
「私が聞きたい!!」
「そりゃまあー? とある人物から含み笑いと共に買わされた時点でなーんか可笑しいとは思ってたでござるがー?」
「可笑しいと思ったら! 使うのを、止めろ!!」
「いや本当、マジですまなかったでござる。キリッ」

息も絶え絶えにしているバーソロミューに、全く誠意の籠っていない謝罪をし。
じゃあそう言う事でーとばかりに撤収しようとした矢先。
恨みを込めたようにガッチリと上着の端を掴まれた。

「待て、バカ髭」
「バカ髭とか酷くないです? 拙者泣いちゃうですよ?」
「このまま帰ってまた使う気だろう…!」
「……ピュー、ピュー」
「下手な口笛で誤魔化すな!!」

怒髪天を衝くバーソロミューに対し、誤魔化しは効かなかった。
しゃーないとばかりに誤魔化すのを諦め。
相手の顔がよく見れるようズイッと身をかがめて近づいた。

「で? 拙者にどうして欲しいんでござるか?」
「今すぐに、その下品な機能が付いた玩具を破棄しろ」
「んー? それは聞けない願い事ですなぁ?」
「……なら」
「あー、あと拙者このカルデア内ではセックロスするだけのフレンド的なー? 道徳感マシマシで考えが甘々なマスター殿が知ったら固まっちゃう系のー? 事はする気はないんでー」
「――そうか」

興味を失ったがごときのあっさりとした一言。
今までの怒りは何処へやら、すっかりと落ち着き払った相手。
まさかそこまであっさりと返されるとは思わず、逆に目を見張った。

「え? ここはもうちょい粘る場では?」
「私とする気はないんだろう? なら、さっさと帰ってその下品な玩具で遊んでいればいい」
「オコなんです? バーソロミュー氏、激オコなんです?」
「私も大人げがなかったな……原因さえ分かればもういい」
「ええー? 待って、待って、拙者ちょーっとからかい過ぎた?」
「黒髭」
「うぃ……」
「私の誘いを断った事を――後悔すればいい」


追い出された後、自室に戻ってはみたものの、例の玩具を使う気もなく。
かと言って薄い本を読む気も、まして周回ゲーをする気もなかった。

「いやいやいや、あの顔は反則級では? 待って、マジで待って、ムリみがしんど過ぎてちょっと拙者訳が分からないでござる」

冗談めかして口から意味のない言葉を垂れ流してみるが、本当に訳が分からない。
別に断ったつもりはなく、どーしてもと相手の方からねだるならやぶさかでもない的な。
いわゆる様式美に近いポーズだけのもの、だったはずがどうしてこうなった。


(2019/09/09)
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