断片話

◆おままごとのような恋人ごっこの後


シャワー室に向かおうとしたら、腕を掴まれ。
そのまま後ろから拘束されるように抱きとめられた。

「恋人ごっこは終わったはずだが?」
「ごっこ遊びはな」
「では、先ほどの続きかな?」
「黙ってろ」

横暴なものだと呆れていれば。
暫く抱きとめた後、デカいため息を相手は吐いた。

「は~……やっぱ萌えねーでござる」
「唐突に何だ?」
「クソほど萌えねーしぃ? 拙者より小さくても世間一般じゃ体格いい方だしぃ?」
「よし、その喧嘩は高値で買おう」
「あーもー何で拙者、セフレで満足しねーんですかねー」
「…………」
「だいたい不法占拠もいい所では? 寝ても覚めても気になるとか呪いでござるか? はっ! 拙者まさか愛の霊薬を知らずに飲んでいたとかです? なーんて思って医務室行ったら、霊基ド安定過ぎて逆に引くレベルとかwwwこれはどう考えてもガチです、どうもありがとうございました。拙者チョロインはお断りですがー? 高嶺の花過ぎると萎えるしー? かと言って手に入りそうで微妙に絶妙な感じで安定してるのもパース! でも恋愛はしたいんでござるよ。あ、拙者の財宝目当てとかじゃなくね? だがしかしかし、真実の愛とか二次元しかないと思ってた所もあってでござるね。
 まあ、何が言いたいかってーと――付き合ってくだちい」
「分かった。医務室まででいいかな?」
「古典的な返答!」

「残念だ、黒髭。私は、君とのこのどうしようもない関係を好きでいたのに」
「ちーと変わるだけだろうよ」
「いや、無理だ。君が私を求めるとか、止めてくれ」
「容赦のない拒絶に拙者心挫けそう!」
「黒髭」
「あーもーまだ言い足りないでござるかー? 勘弁してくだち…」
「私がとっくに君を諦めたのだから。君も、私を諦めるべきだ」
「……あ゛?」
「そうでなければ不平等だろう?」


(2019/09/09)
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