REBORN!

「ヴェル公、ミーが遊んであげます。光栄に思ってください」
「何度言えばその呼び方を止める? それから、私は遊びに付き合っていられるほど暇ではない」

視線すら向けずに言い放つヴェルデ。
その態度にフランはプクッと頬を膨らませた。

「ミーが遊んであげるって言ってるんですよ。そんな落書きどうでもいいじゃないですか」
「落書き?」
「てきとーに数字書いて、そこら辺の部屋に転がってたバッグのマーク描いてるだけじゃないですか。それぐらいミーにも描けますよー」
「バッグのマークだと?」
「とぼけるなら持ってきましょーか? お絵描きに夢中になってるようじゃ、ヴェル公もまだまだお子様ですね」
「こ、この私が書いているものを、お絵描きだと……」

プルプルと鉛筆を握り締めていた手を震わせたヴェルデは、相手のテンポに完全に乗ってしまっている事に気づき、慌てて頭を振った。

「ふっ、掛け算すらできなさそうな子供に、この無駄のない計算式の大切さが理解できるはずもないか」
「子供? 少なくともヴェル公よりは年上ですよ。分かったら年長者の言うことは聞くべきです」
「クフフ、その前に幻覚のトレーニングをしなさい」

「げ、パイナ…じゃなかった骸師匠いたんですかー?」
「南国果物を彷彿とさせるような単語の始めと、どうすれば言い間違えるのかは甚だ疑問ですが。一回程度なら聞き逃しましょう」
「あーすみません。髪型からしてそれしか思い浮かびませんでした」
「いい度胸ですね……そんな事を言ってる暇があればさっさと始めなさい!」
「わー横暴だー、ミーとヴェル公の仲に嫉妬するなんて見苦しーですね」
「いつもの倍のトレーニングにされたいようですね?」
「ちぇー、分かりましたよ」

しぶしぶといった様子で立ち上がったフランは、少し離れてから骸へと振り返った。

「あ、言っておきますけど、骸師匠。ヴェル公に手を出したら完全に犯罪者ですから。ベタベタしたりしないでくださいよ?」
「なっ!?」
「じゃあヴェル公、ミーの幻覚トレーニングが終わったら遊んであげますよ」



大人と子供
振り回すのはどちら?
「あのバカガキをどうにかしろ、骸!!」


end
(2011/12/05)
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