ヒロアカ

眼球舐め
(オールマイト×相澤)


「何故こうしたのか、理由を言ってくれますか?」


舐めとられた目を手で覆いしばらく瞬きを繰り返した相澤は、相手を見上げながら口を開いた。


「合理的だろう!」

グッ、とサムズアップしながら自信を持って断言するオールマイト。
その答えに、理解できないとばかりに相澤は眉間にしわを寄せた。


「不合理ですね」
「何故だい!?」
「目のゴミぐらい、水で洗えばいい所を何故わざわざ舐めとる必要が?」
「それは、君が目にゴミが入ったと痛そうだったからすぐに治そうと!」
「水場はすぐそこにありますよ、オールマイトさん」
「…………」


しゅん、と肩を落とし全身で悲愴感を示す相手。
全くもって可愛くない大の大人のしょぼくれた姿に相澤は軽く嘆息した。

「方法は不合理ですが……一応ありがとうございました」
「!!」

パァっと目に見えて明るくなるオールマイト。
暑苦しいほどに急激に変わる相手を睨むように見上げたまま、言葉の続きを相澤は口にした。


「ただ、二度と外ではしないでください」
「お、おう……相澤くん、何故かやけに言葉に棘が付いてる気がするんだが……」
「当たり前でしょう。誰かに見られたらどうするつもりだったんですか?」
「目のゴミをとてあげていたと言うさ!」
「わざわざ人の肩に手を置いて、自分の舌で人の眼球を舐めとる方法を、貴方は誰彼かまわずやり通すつもりだと」
「それは……」
「いき過ぎたスキンシップは止めて下さい。俺は貴方と熱愛報道されたくはないんで」

言い終わった途端に視線を逸らし、見上げる事を止めた相澤はさっさとオールマイトから距離を取った。
そんな相手に、今にも体育座りでのの字を書きそうなほどの落ち込みを見せるオールマイト。
心の距離が遠すぎる、と温度差を感じながらオールマイトは相澤の背を眺めた。


「……そんなに嫌だったのかい、相澤くん」
「別に嫌じゃありませんでしたよ」
「!?」

独り言ともとれるほどの小声で呟いたはずの言葉への返事。
振り返りもせずに返してきた相手の言葉に、驚きの顔を相澤へと向けた。
言葉を返したのが嘘のように、いつも通りに歩いていく相手をしばらく眺め。
オールマイトはその後、ひとしきり唸った。


「んんん~~……分かりにくい!」


end
(2014/11/03)
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