空気の読めない奴は厄介だ。

いや、正確に言うと、此方が無反応でも空気が読めないゆえに勝手に前向きにとらえる所が厄介だ。
例えば、隣にいる燃堂が最たるもので、


「でよう、相棒！　今から新しく出来たカフェに行こうぜ!!」


まったく話を聞いていなくとも会話が進んでいく。
ほぼ強制的に決定された放課後の予定だが、ちょっと待ってほしい。

まず、なぜ僕の予定を聞かずに決定にするのか。
それから、カフェに男同士で行く意味は何だ？
仮に行ったとして場違いだと冷たい視線を向けられる事は必須だ。
そもそも、僕は一言も行くとは言っていない。


「そこの店はコーヒーゼリーが有名らしいんだぜ！　楽しみだな相棒!!」


…………行くことは決定事項になりそうだ。

このまま行かないと言う態度をとっても、空気の読めない者に期待しても無駄なだけ。
カフェと言うぐらいならコーヒーの味は多少期待できるだろうし。
有名と言うなら、少なからず店員が噂を流していたとしても美味しくなければ潰れている。

――うん、悪くはない。



コーヒーゼリー
決して物に釣られたわけじゃないぞ？　燃堂が煩いからだ。


end
（2012/08/21）

おまけ


「バケツパフェ１つ!!」


予定通りの空気の読めなささだ。
店員が場違いすぎる客にドン引きしている。
もちろん、僕はコーヒーゼリーを頼もう。


おわり