ググコク

「コックリさん。コックリさん」
「ん? どうしたこひな?」
「洋服と和服で前の合わせ目が違うのは何故でありませうか?」
「えーと……それは、だな……」
「駄目だな狐。子供の好奇心からくる質問にちゃんと答えるのが大人だろ?」
「なんだよ信楽。お前は知ってるって言うのかよ?」
「知ってるぜ、おいちゃん物知りだからな」

だてに年取ってないんだぜ、と酒を片手にニヤッと笑い。
信楽はこひなに目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

「嬢ちゃん。洋服と和服の合わせ目の方向が違うのは、文化の違いだ」
「文化の違い、でありませうか?」
「そう、洋服は前から、和服は後ろから夜男が脱がせる時に…」
「こひなに汚れた知識を吹き込むな!」

コックリさんに鉄拳制裁を加えられた信楽は、たんこぶを手で押さえながら相手を見た。

「いやいや、マジだって狐。本当にそうなんだよ」
「嘘をつくな嘘を! エイプリルフールはとっくに過ぎてるぞ!!」
「本当だって。嘘だと思うならおいちゃんと今夜にでも試してみれば分かるって」
「まあ、それもそう……って! なる訳あるか!!」

余計な事をさらに重ねて言う信楽の成敗を始めるコックリさん。
その様子を作り出した張本人な少女は、遠巻きに眺めるだけだった。



文化の違い
「むごい」
「我が君、あのような汚らわしいモノなど目に映してはいけません。ささ! あちらへと参りましょう」


end
(2020/04/28)
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