ググコク
「やべっ……ちょっと寝過ぎたか?」
コタツから這い出ながら信楽は目元をこすった。
取り敢えず、目覚めの酒だと近くに置いてあったはずの徳利を手に取り煽った。
徳利をまた畳に置き、何をするでもなくぼーっとしていると妙に家の中に音がない事に気付いた。
「……静かだな」
ちょうど家に誰もいない時間帯だったのか、時計の秒針の音が異様に響いていた。
エロ本を読もうかとも思ったが、気分じゃない。
何もする事が無いので、またコタツに潜り込み二度寝へとしゃれ込もうかと自分の腕を枕代わりにしたが、まったく寝つけなかった。
静かすぎる事が耐え切れなくなりアニマル型になってコタツに潜り込み、耳でも塞ごうかと思っていると、玄関の方で音がした。
目を閉じて狸寝入りをしていると部屋の襖が開き、ぽてぽてと歩いてくる音が聞こえた。
「うわっ、こいつまだコタツで寝てたのかよ」
買い物袋を小さい体で運んでいた狐が顔を覗き込んできたところで、手を伸ばして捕まえた。
コタツから出て、モフモフとしたアニマル型の狐を膝の上に乗せると、驚いた顔で相手は見上げてきた。
「なっ!?」
「遅かったな、狐」
「おい! 何しやがる信楽!!」
「いやほら、獣皮恋しい時期だろ?」
「冗談言うな! 俺は今から夕飯の支度がある!!」
キーキーと怒鳴る狐の頭を撫でながら、これぐらい煩いのがちょうどいいなと勝手に納得した。
静かすぎた居間で
その後に思い切り殴られた。
end
(2012/11/11)
コタツから這い出ながら信楽は目元をこすった。
取り敢えず、目覚めの酒だと近くに置いてあったはずの徳利を手に取り煽った。
徳利をまた畳に置き、何をするでもなくぼーっとしていると妙に家の中に音がない事に気付いた。
「……静かだな」
ちょうど家に誰もいない時間帯だったのか、時計の秒針の音が異様に響いていた。
エロ本を読もうかとも思ったが、気分じゃない。
何もする事が無いので、またコタツに潜り込み二度寝へとしゃれ込もうかと自分の腕を枕代わりにしたが、まったく寝つけなかった。
静かすぎる事が耐え切れなくなりアニマル型になってコタツに潜り込み、耳でも塞ごうかと思っていると、玄関の方で音がした。
目を閉じて狸寝入りをしていると部屋の襖が開き、ぽてぽてと歩いてくる音が聞こえた。
「うわっ、こいつまだコタツで寝てたのかよ」
買い物袋を小さい体で運んでいた狐が顔を覗き込んできたところで、手を伸ばして捕まえた。
コタツから出て、モフモフとしたアニマル型の狐を膝の上に乗せると、驚いた顔で相手は見上げてきた。
「なっ!?」
「遅かったな、狐」
「おい! 何しやがる信楽!!」
「いやほら、獣皮恋しい時期だろ?」
「冗談言うな! 俺は今から夕飯の支度がある!!」
キーキーと怒鳴る狐の頭を撫でながら、これぐらい煩いのがちょうどいいなと勝手に納得した。
静かすぎた居間で
その後に思い切り殴られた。
end
(2012/11/11)