断片話
◆見果てぬ夢
(ロマカワ)
「……用ってのは何なんすか?」
「ただ君に会いたかった」
「は?」
「それだけじゃダメだったかな?」
「いや、ダメって言うか……」
そんな理由かよ、と言いたくなった口を閉じ、カワサキはロマンスに怪訝そうな目を向けた。
何をしたいのかが分からない。
アクセルの友人だと後から知ったが、調子が狂う相手だった。
「ケン君に無理を言って連れてきてもらったけど、迷惑だった?」
「迷惑ではないっすけど……」
むしろ、湖畔の夜の風景を楽しんできていた。
ただ、不可解な点が多すぎて頭がいまいちついて行けなくはあったが。
「君に会って話しがしたかった。黒吸血鬼の王だけが毎日君に会うのは不公平だよ」
「いや……あの?」
「彼は吸血鬼の王ではあるけど、それを理由に独占するのは狡いと思わないかな?」
「は、はあ……?」
「ボクも彼みたいに君を独占したい。単純に言うと、君を人の世界に返したくない」
「はぁ!?」
気付けば、随分と近くにロマンスは来ていた。
手を伸ばせば、たやすく捕まえられる距離に。
「ボクを見て、ボクだけと話して」
「な、ん……」
「ずっと、君と一緒にいたいと思ってしまったんだ」
だから、と後ろに下がろうとしたカワサキを腕の中に捕まえ、ロマンスは牙の見える口を開いた。
(2014/05/21)
(ロマカワ)
「……用ってのは何なんすか?」
「ただ君に会いたかった」
「は?」
「それだけじゃダメだったかな?」
「いや、ダメって言うか……」
そんな理由かよ、と言いたくなった口を閉じ、カワサキはロマンスに怪訝そうな目を向けた。
何をしたいのかが分からない。
アクセルの友人だと後から知ったが、調子が狂う相手だった。
「ケン君に無理を言って連れてきてもらったけど、迷惑だった?」
「迷惑ではないっすけど……」
むしろ、湖畔の夜の風景を楽しんできていた。
ただ、不可解な点が多すぎて頭がいまいちついて行けなくはあったが。
「君に会って話しがしたかった。黒吸血鬼の王だけが毎日君に会うのは不公平だよ」
「いや……あの?」
「彼は吸血鬼の王ではあるけど、それを理由に独占するのは狡いと思わないかな?」
「は、はあ……?」
「ボクも彼みたいに君を独占したい。単純に言うと、君を人の世界に返したくない」
「はぁ!?」
気付けば、随分と近くにロマンスは来ていた。
手を伸ばせば、たやすく捕まえられる距離に。
「ボクを見て、ボクだけと話して」
「な、ん……」
「ずっと、君と一緒にいたいと思ってしまったんだ」
だから、と後ろに下がろうとしたカワサキを腕の中に捕まえ、ロマンスは牙の見える口を開いた。
(2014/05/21)