凌Ⅳ
ファンにプレゼントを渡され、にこやかに受け取り。
その場で広げて喜んで見せたⅣは、ファンが離れた後も暫く箱の中身を眺めた。
眺め続けるⅣの隣で箱の中身を同じように眺め、何の変哲もない内容に凌牙は訝しんだ。
「おい、Ⅳ」
「ああ、あそこがいいですね」
行きましょうか、と唐突に言ったⅣはファンから貰った箱を抱えたまま歩き出した。
向かった先がビルの建設現場な事に眉を寄せた凌牙は疑問に思いながらもついていった。
建設現場の階段を上って行くⅣの後をついていきながら、何も話そうともしないⅣに凌牙は問いかけた。
「Ⅳ。こんな場所で…」
何をする気だと言いかけ、Ⅳが口元に指を当てている事に気付き凌牙は黙った。
地上三階ぐらいの高さに来た所で、Ⅳは箱から出した人形を地上へと投げ捨てた。
地面に叩きつけられ破片が飛び散った人形を見下ろし、ようやくⅣは口を開いた。
「もう話してもいいですよ」
建設途中のビルに来て何をするつもりなのかと見ていた凌牙は呆れたように聞いた。
「わざわざ壊すために此処まで来たのかよ」
「心外ですね。貴方と二人っきりになれる場所に来ただけですよ」
「なら、何でファンから貰った物を落とした」
「ゴミを処分しただけで、随分な言いようですね」
「……お前の好きな人形だろ」
「勿論。普通の人形なら大歓迎ですよ」
普通の人形なら、と含むように言うⅣは人形を落とした場所を指差した。
「後で見てみるといいですよ。盗聴器類が落ちているでしょうから」
さあ、反論を
「……何で分かったんだよ」
「勘に決まってるだろ」
end
(2012/01/11)
その場で広げて喜んで見せたⅣは、ファンが離れた後も暫く箱の中身を眺めた。
眺め続けるⅣの隣で箱の中身を同じように眺め、何の変哲もない内容に凌牙は訝しんだ。
「おい、Ⅳ」
「ああ、あそこがいいですね」
行きましょうか、と唐突に言ったⅣはファンから貰った箱を抱えたまま歩き出した。
向かった先がビルの建設現場な事に眉を寄せた凌牙は疑問に思いながらもついていった。
建設現場の階段を上って行くⅣの後をついていきながら、何も話そうともしないⅣに凌牙は問いかけた。
「Ⅳ。こんな場所で…」
何をする気だと言いかけ、Ⅳが口元に指を当てている事に気付き凌牙は黙った。
地上三階ぐらいの高さに来た所で、Ⅳは箱から出した人形を地上へと投げ捨てた。
地面に叩きつけられ破片が飛び散った人形を見下ろし、ようやくⅣは口を開いた。
「もう話してもいいですよ」
建設途中のビルに来て何をするつもりなのかと見ていた凌牙は呆れたように聞いた。
「わざわざ壊すために此処まで来たのかよ」
「心外ですね。貴方と二人っきりになれる場所に来ただけですよ」
「なら、何でファンから貰った物を落とした」
「ゴミを処分しただけで、随分な言いようですね」
「……お前の好きな人形だろ」
「勿論。普通の人形なら大歓迎ですよ」
普通の人形なら、と含むように言うⅣは人形を落とした場所を指差した。
「後で見てみるといいですよ。盗聴器類が落ちているでしょうから」
さあ、反論を
「……何で分かったんだよ」
「勘に決まってるだろ」
end
(2012/01/11)