断片話

◆滑稽
(トロン)

ナンバーズを求めて外に出て行ったⅣを見送り、一人になった部屋でトロンは低く笑い始めた。
昔のように家族全員で幸せに暮らしました、そんな風に終わる結末はもう何処にもない。
そんな事を一番よく分かっているくせに、最後まで希望に縋りたがる様子が可笑しかった。
手のひらで踊らされる事を知っていながら、自分が他人を踊らせる事で虚勢を張る。
操り人形が人形を躍らせる、そんな滑稽さに笑いが止まりそうになかった。

「期待してるよ、Ⅳ」


(2012/05/24)
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