断片話

◆兄は心配性
(凌Ⅳ→Ⅲ+遊)

「ああ、クソッ!手前のデブが邪魔でⅢが見えねぇ!!」
「おい、Ⅳ」
「あっ! 何でそんなバカの為にわざわざ紅茶を注いでやるんだⅢ!? そんな奴水でも飲ませとけば充分だろ!!」
「……帰ってもいいか?」
「Ⅲがあのおまけ同然のチビの毒牙にかかったらどうする積もりだ凌牙!!」
「あったとしても逆だろ」

強引に喫茶へと連れ込まれた凌牙は、何でこそこそとⅢと遊馬の様子を眺めてなければいけないのかとため息を吐きたくなった。

「いいか、凌牙!! Ⅲは世間知らずなんだよ!それが最近やけに外に行くなと思ったら、案の定ろくでもない奴に引っかかってやがる! 心配するのが普通だろ!!」
「ブラコン野郎」
「来週、丸一日お前の為だけに予定を開けてやる。分かったら今日は付き合え!」
「…………」

やけくその様に言われたⅣの台詞に、何処まで切羽詰まった心境なのかと考えたくなった。

「だいたい、弟が友達作ったぐらいで一々動揺する方が馬鹿だろ」
「Ⅴの奴がⅢを見送った後に本を逆にして読んでるのに気づかない時点で異常事態なんだよウチでは!」
「どんな基準だ」


(2012/04/10)
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