その他

「Ⅴ、Ⅲ。お年玉だよ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます、トロン!」

「それから、はい、Ⅳ。君には特別に豪華な袋であげるよ」
「おう……」

特別扱いを疑問に思いながら袋を受け取ったⅣは、さっそく中身を確認した。
そこそこの厚みを持っている札の金額を確認し、静かに袋へと戻した。


「……トロン、この金何処から調達したんだ」
「もちろん君の貯金からだよ、Ⅳ」
「本末転倒だろ!! まさか、ⅤやⅢのもか!?」
「だって、君の貯金が一番多かったし」
「そんな理屈理解できるか!」


「Ⅳ兄様! ここは雰囲気を楽しむところです!」
「そうだぞ、Ⅳ。ここはトロンの心遣いに感謝する所だ」
「俺が悪いわけじゃないだろ!? 第一、一番許せないのはⅤ! テメェだ!!」

それは俺が稼いだ金だろ!とⅤが持っている袋指差すⅣ。
ギッと睨みつけてくるⅣに、呆れたようにⅤはため息を吐いた。


「何で俺の方が年下なのにお前の分まで出さないといけないんだよ!」
「Ⅳ、見苦しいぞ」
「ムカつくぜ! 逆にお前が俺に寄越す側だろ!?」
「まだ私が動く時ではない」
「ニート宣言か!」


Ⅴに掴みかかりそうな勢いのⅣに、トロンは悲しげな顔で近づいた。


「Ⅳ」
「ああ? なんだよ」
「ごめんね、Ⅳ。僕がこんな体なばっかりに、君の貯金からお年玉を出して」
「トロン! べ、別に、俺はそこまで言って……」
「そう? じゃあコレは僕用のお年玉として貰っておくね。さっそくケーキでも買ってこようかな!」


ニコニコと笑うトロンが手に持っていた袋は、今までの袋より何倍も厚みがあった。



お年玉
「…………釈然としねぇ」


end
(2013/01/04)
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