凌Ⅳ
「Ⅳ、お前最近身長が縮んだのか?」
「は?」
「前に会った時より顔が近い気がするぜ」
不思議そうにⅣを見ながら考える凌牙に、Ⅳは内心で馬鹿にしながら笑いかけた。
「面白い話ですねぇ? 貴方と私の身長差が縮んだとでも言いたいんですか」
「Ⅳ。少しお前そのブーツ脱げ」
「ちょっ、止めてください。此処をどこだと思ってるんですか? 外ですよ?」
凌牙に近づかれた分だけⅣは後ろへと下がった。
じりじりと近づく凌牙は真面目な顔で言った。
「ただ確認するだけだ」
「なら別に靴は脱がなくてもいいはずですよ」
「Ⅳ。靴がないと俺に勝てないと思ってるのか?」
「この…ッ!」
「脱がないなら、別にそのままでもいいぜ」
Ⅳの腕を掴み、逃げる事を禁止した凌牙は靴の事をさして気にしないまま引き寄せた。
目の前で身長を比べる凌牙とⅣの身長差は、微妙だった。
凌牙の方が低いには変わらないが、確かに少し前に会った時より差が縮んでいた。
その事に気付いたⅣは、少し焦りながら腕を振り払い後ろへと下がった。
「ほ、ほら見なさい! 私の方が高いですよ!!」
「まあ、そうだろうな。俺もさすがに越したとは言ってないぜ」
ただ、と確実に差が縮まっている事を確信した凌牙はニヤリと笑った。
「今度会う時が楽しみだな?Ⅳ」
「――ッ!!」
絶句したⅣを残して、凌牙は離れて行った。
「Ⅳ兄様! おかえりなさい」
「Ⅲ……」
「どうしたんですか? 顔色が悪いですよ、Ⅳ兄…」
ふらふらと近づいてきたⅣは、Ⅲをじっと眺め、急に肩を掴んだ。
「お前だけはその身長のままでいてくれ!!」
「フォ、Ⅳ兄様?」
「成長期なんか認めるか!!」
宣言をするように叫んだⅣは目に涙を溜めながら走り出した。
自室へと走って行ったⅣを見送った後、ⅢはⅤがいる部屋へと戻った。
本を読んでいるⅤへと、Ⅲは首を傾げながら近づいた。
「Ⅴ兄様。Ⅳ兄様は身長の事で最近悩みでもあるんでしょうか?」
「どうした、Ⅲ」
「いえ……Ⅳ兄様が急に僕との身長差を確認したかと思うと、そのままの身長でいてくれ、と僕の肩を掴んで妙に真剣に頼んできたので」
Ⅲの話に耳を傾けていたⅤは、暫く考えた後口を開いた。
「Ⅲはまだ成長期があるが、Ⅳはこれ以上劇的に高くなる希望がないからだろう」
「そう言うものでしょうか?」
「年下のファンに自分の身長と同じぐらいの人物がいたのかもしれないな」
本に視線を落としながら推測を述べるⅤ。
Ⅴの言葉に、思い当たる人物がいたⅢは遠い目をしながら呟いた。
「……何となくわかった気がします」
プライド
「俺と凌牙の身長差が縮んだだと? ハッ! 馬鹿も休み休み言え! 成長期を差し引いたとしても一生追いつかれてたまるか!!」
end
(2011/12/30)
「は?」
「前に会った時より顔が近い気がするぜ」
不思議そうにⅣを見ながら考える凌牙に、Ⅳは内心で馬鹿にしながら笑いかけた。
「面白い話ですねぇ? 貴方と私の身長差が縮んだとでも言いたいんですか」
「Ⅳ。少しお前そのブーツ脱げ」
「ちょっ、止めてください。此処をどこだと思ってるんですか? 外ですよ?」
凌牙に近づかれた分だけⅣは後ろへと下がった。
じりじりと近づく凌牙は真面目な顔で言った。
「ただ確認するだけだ」
「なら別に靴は脱がなくてもいいはずですよ」
「Ⅳ。靴がないと俺に勝てないと思ってるのか?」
「この…ッ!」
「脱がないなら、別にそのままでもいいぜ」
Ⅳの腕を掴み、逃げる事を禁止した凌牙は靴の事をさして気にしないまま引き寄せた。
目の前で身長を比べる凌牙とⅣの身長差は、微妙だった。
凌牙の方が低いには変わらないが、確かに少し前に会った時より差が縮んでいた。
その事に気付いたⅣは、少し焦りながら腕を振り払い後ろへと下がった。
「ほ、ほら見なさい! 私の方が高いですよ!!」
「まあ、そうだろうな。俺もさすがに越したとは言ってないぜ」
ただ、と確実に差が縮まっている事を確信した凌牙はニヤリと笑った。
「今度会う時が楽しみだな?Ⅳ」
「――ッ!!」
絶句したⅣを残して、凌牙は離れて行った。
「Ⅳ兄様! おかえりなさい」
「Ⅲ……」
「どうしたんですか? 顔色が悪いですよ、Ⅳ兄…」
ふらふらと近づいてきたⅣは、Ⅲをじっと眺め、急に肩を掴んだ。
「お前だけはその身長のままでいてくれ!!」
「フォ、Ⅳ兄様?」
「成長期なんか認めるか!!」
宣言をするように叫んだⅣは目に涙を溜めながら走り出した。
自室へと走って行ったⅣを見送った後、ⅢはⅤがいる部屋へと戻った。
本を読んでいるⅤへと、Ⅲは首を傾げながら近づいた。
「Ⅴ兄様。Ⅳ兄様は身長の事で最近悩みでもあるんでしょうか?」
「どうした、Ⅲ」
「いえ……Ⅳ兄様が急に僕との身長差を確認したかと思うと、そのままの身長でいてくれ、と僕の肩を掴んで妙に真剣に頼んできたので」
Ⅲの話に耳を傾けていたⅤは、暫く考えた後口を開いた。
「Ⅲはまだ成長期があるが、Ⅳはこれ以上劇的に高くなる希望がないからだろう」
「そう言うものでしょうか?」
「年下のファンに自分の身長と同じぐらいの人物がいたのかもしれないな」
本に視線を落としながら推測を述べるⅤ。
Ⅴの言葉に、思い当たる人物がいたⅢは遠い目をしながら呟いた。
「……何となくわかった気がします」
プライド
「俺と凌牙の身長差が縮んだだと? ハッ! 馬鹿も休み休み言え! 成長期を差し引いたとしても一生追いつかれてたまるか!!」
end
(2011/12/30)