その他

「やってられるか!!」


唐突に叫んだⅣは渡された段ボール箱を床へと叩きつけた。
Ⅳ宛ての手紙が詰まった箱を渡していたⅢは、驚いたように目を見開き瞬かせた。

肩で息をしながら怒りに満ちた目で手紙を睨んだⅣは、近くに積んであった箱を蹴り飛ばした。


「少しファンサービスすりゃ付け上がりやがって!! その応酬は嫌がらせか!?」


床に撒かれた手紙の山を入念に踏み躙りながらⅣは顔をゆがめた。


「俺を満足させる事の一つもできないファンの分際で、随分といい度胸じゃねぇか!!」
「Ⅳ兄様! やりすぎです!!」
「放せⅢ!! 毎日毎日バカの一つ覚えで届く手紙には辟易してんだよ!」
「気持ちは分かりますけど! これも兄様の人気の裏付けです!!」
「あぁそうだろうな! 人の都合お構いなしに手紙送りつけてくるファンのおかげで挑戦者探しには事欠かないだろうよ!!」


Ⅲの拘束を振り解き、頭を掻き毟ったⅣは怒りの頂点に達していた。



そこから、ふと掻き毟っていた手を止め、何かを悟ったように呟いた。


「……そうか、こいつらは俺のファンサービスが足りないから送りつけてくるんだな」
「兄、様?」
「ふはは…そうか、要するに催促状か。俺のファンサービスがそんなに欲しかったのか……」


喉の奥で低く笑い、次第に大きくなっていく笑い声。
異様な空気が漂い始めた事に、Ⅲは若干後ろへと下がった。



「いいぜ……ファンサービスでも何でもしてやるよ。――ファンの期待には添わねぇといけないよなぁ!!」


高らかに笑い声を響かせ歩き出すⅣに青ざめた表情でⅢは叫んだ。


「トロン! Ⅴ兄様! Ⅳ兄様が壊れました!!」



ストレス爆破
「これは相当に危ないですねぇ」
「Ⅳ。少し休め」
「放せⅤ。ファンが俺のサービスを待ってんだよ。念入りにファンサービスしないとなぁ……」
「Ⅳ兄様! 気を確かに持ってください!!」


end
(2012/02/15)
8/12ページ