その他

「どうぞ、Ⅳ兄様」
「Ⅲ。どう言う了見でソレを俺に渡すんだ?」
「勿論、トロンと僕が豆撒きをするのに、鬼がいないと格好がつかないからです」
「誰がやるか!!」

鬼の角付カチューシャを目の前に出されていたⅣは、怒鳴り返しながらそっぽを向いた。


「兄様。そんな事言わずに」
「Ⅴにでもやらせろよそんなもん!」

いつものように本を読んでいるⅤを指差したⅣは、Ⅲからカチューシャを奪い取りズカズカと近づいていった。

「ほら、やれよⅤ」
「まだ私が動く時ではない」
「ただ面倒くせぇだけだろ!」

噛み付く勢いで大声を出すⅣに、眉を顰めたⅤは本を閉じた。

「Ⅳ」
「何だよ、ようやくやる気になったのか?」

短く呼びかけ手招きをするⅤに何の疑問もなくⅣは近づいた。


そのまま片手を出した相手にカチューシャを渡し、トロンの事になると甘いんだよな、と不貞腐れていると。
ポスッと頭に今しがた渡したものを付けられた。


「後は頼んだぞ、Ⅳ」
「テメェ! それだけの為に呼んだのか!?」
「それ以外に何がある」

閉じた本を開き直し読み始めるⅤ。
そんな相手に怒髪天を衝く勢いで体を震わせたⅣだったが、部屋に響き渡る笑い声に慌てて振り返った。


「いやぁ、今年は随分と可愛い鬼ですね」
「すごく似合ってますよ、Ⅳ兄様」

Ⅲが豆撒き用に用意している物を見てⅣは、ギョッとした。



落花生
「Ⅲ! 地味に殺傷力あるもん用意するな!!」
「後で拾って食べる時に衛生的じゃないですか」
「理にかなってる解答だね、Ⅲ」
「ほら、トロンもこう言ってますよ?Ⅳ兄様」


end
(2012/02/03)
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