凌Ⅳ

「Ⅳ兄様! デートに出かけるならサングラスをかけるべきです!」


どうして普段は何も言わないくせに、こういう時ばかり引き留めるのか。
出かける途中だったⅣは苦虫を噛み潰した様な顔で振り返った。

「サングラスなんかかけたら余計に怪しんでくださいって言ってるもんだろ」
「でも、素顔をさらしているとファンに絡まれますよ?」
「その為に目立たない格好をしてるんだろ」

時間がないからもう行くぜ、と歩き出そうとしたⅣは立ちはだかるⅤに驚き、一歩下がった。


「危ねぇな、Ⅴ。テメェまで何の用だよ」
「Ⅳ、目立たない事を意識するなら普通の服を着るべきだ」
「普通の服の意味分かってんのか、Ⅴ!!」

これが一番目立たなくていいんだよと反論するⅣ。
怒鳴り返したⅣに、ⅢとⅤは一番目立たないと主張された服装を眺めて首をかしげた。


「全国大会の時の服装なんて、すぐにファンに気付かれますよ? Ⅳ兄様」
「根本的な見直しが必要だ」

堂々巡りに入りそうな流れに、それほど気の長くないⅣはキレた。


「時間がないって言ってんだろ!!」



余計なお世話
「地味な妨害しやがって! そんなに俺を凌牙の所に行かせたくないのか!?」
「誤解だ、Ⅳ」
「そうですよⅣ兄様。僕とⅤ兄様は少し心配性なだけです」
「白々しいこと言ってんじゃねぇよ!!」


end
(2012/02/10)
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