凌Ⅳ
見つからない事に苛立ち、繋がりっぱなしのD・ゲイザーを取り出した。
「何処だ、Ⅳ」
『貴方のすぐ近くですよ』
さっきからそればかりを繰り返す相手にいい加減苛立ちたくもなる。
Ⅳの遊びに付き合う気は欠片たりともなかった。
さっさと姿を出せ、と思いながら周囲を見渡した。
『ほら、もう距離からすれば一mもありませんね』
「…………」
怒鳴り返したくなる気持ちを押さえもう一度周りを見渡した。
隠れる所も特にないような見晴らしのいい広場の何処にいるんだと、皆目見当もつかなかった。
『分からない人ですねぇ、これだけ近くにいてもまだ分からないなんて』
からかうような声に、我慢もさすがに限界がきた。
「だから、何処に!」
「いるじゃないですか、貴方のすぐ上に」
ガサッ、と何かが落ちる音がした方向を見ると、舞い落ちる葉っぱを払い落としているⅣがいた。
「まったく、こんなに近くにいても気付かないなんて、愛が足りないんじゃないんですか?」
「白々しい事を言うな」
何処の猿だと言いたくなるような場所にいる方が悪いんだろと、木の上にいた相手を前に呆れた。
かくれんぼ
「こんな見晴らしのいい場所で、よく無駄に探せましたねぇ? 凌牙」
「ああ、そうかよ。馬鹿と煙は高い所が好きだってのを忘れてたぜ」
「おやおや、負け惜しみですか?」
end
(2012/02/07)
「何処だ、Ⅳ」
『貴方のすぐ近くですよ』
さっきからそればかりを繰り返す相手にいい加減苛立ちたくもなる。
Ⅳの遊びに付き合う気は欠片たりともなかった。
さっさと姿を出せ、と思いながら周囲を見渡した。
『ほら、もう距離からすれば一mもありませんね』
「…………」
怒鳴り返したくなる気持ちを押さえもう一度周りを見渡した。
隠れる所も特にないような見晴らしのいい広場の何処にいるんだと、皆目見当もつかなかった。
『分からない人ですねぇ、これだけ近くにいてもまだ分からないなんて』
からかうような声に、我慢もさすがに限界がきた。
「だから、何処に!」
「いるじゃないですか、貴方のすぐ上に」
ガサッ、と何かが落ちる音がした方向を見ると、舞い落ちる葉っぱを払い落としているⅣがいた。
「まったく、こんなに近くにいても気付かないなんて、愛が足りないんじゃないんですか?」
「白々しい事を言うな」
何処の猿だと言いたくなるような場所にいる方が悪いんだろと、木の上にいた相手を前に呆れた。
かくれんぼ
「こんな見晴らしのいい場所で、よく無駄に探せましたねぇ? 凌牙」
「ああ、そうかよ。馬鹿と煙は高い所が好きだってのを忘れてたぜ」
「おやおや、負け惜しみですか?」
end
(2012/02/07)