凌Ⅳ

「収まりが悪い上に、妙に筋張って硬いですねぇ」
「…………」


喧嘩をした後、憂さ晴らしの大会荒らしで各地を転々として。
大会主催側から用意された一流ホテルに悠々と滞在して。
迎えに来た此方をさも迷惑だと言わんばかりに出迎えて。
そのくせ、夜も遅いでしょうから泊まりませんかと言い。
貴方が原因で飛び出したからお気に入りの人形を連れてくるのを忘れたんです、と文句を言いながら一緒のベッドに寝ることを強要し。
しかもそれを理由に、人へ勝手に抱き着いておきながら言う台詞がそれかと苛立った。


「でもまぁ、子供体温も嫌いじゃない」


後ろから抱き着いてきて耳元で囁いてくるⅣ。
我慢の限界を重ねていた中、何かがプチッと切れた。


「――!? 凌牙! テメェ何を…ッ!!」
「先に触ってきたのはそっちだろ」
「抱き枕は抱き枕らしく黙って動かない配慮ぐらいできないのか!」
「誰が抱き枕だ! 自分から抱きついてきたくせに我儘だろ!!」
「はぁ!?」



覚悟しろ!
「で? Ⅳ、誰が子供体温だって?」
「このッ! …やめ……!!」
「お前だって十分体温高いだろ」
「止めろ凌牙! 後で覚えてろよテメェ!!」


end
(2012/01/26)
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