右京先生受け

七夕
(等々力×右京)


殴り書きされたように力強く書かれた文字。
誰が書いたのか名前を読まなくても分かる短冊。

七夕飾りを竹へと飾りつけながら、等々力は目に留まった短冊を読んで呆れたように思った。


『とどのつまり、こんな物で願いが叶うなら全員がデュエルチャンピオンになってますよ』

辛辣に思いながらも等々力は声には出さなかった。
くだらないと思う反面、隣で楽しみながら飾っている右京の手前、全面的には否定はしなくなかった。


「……遊馬君の場合、絶対本気で書いてますね」

小さく呟き、次の飾りへと手を伸ばした。



クラス全員で作った七夕飾り。

代表として飾り付ける事には異存はなかったが、他人の書いた短冊が見るともなしに見えてしまうのは考えものだった。
大半の願い事が何処かしら割り切ったものなのに、稀に本気で書かれた願い事がある。
それらを見ると、叶う訳もないのに、とつい呆れてしまう。



黙々と飾りつけながら、等々力は次に手に取った短冊をふと眺めた。



丁寧な字で書かれた願い事。
冗談でも、割り切った願いでもない短冊に、等々力は暫く手を止めて眺めた。



「委員長?」

今まで黙々と飾っていた等々力が手を止めたことに、不思議に思いながら右京は声をかけた。
その声に、等々力は手に持っていた短冊を飾りながらポツリと呟いた。


「先生は……もう少し欲張ってもいいと思います」


飾られた短冊が、自分が書いたものだと分かった右京は苦笑するように言った。



「そうかな? 一番欲張りな願いだと思うよ」


end
(2011/07/03)
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