黒右京

◆黒白


「君が、一番わかってくれるからだろうね」

疲れたような顔をして、またこの部屋に来た相手は言った。
それで〈私〉の気が休まるのならと思う反面、密やかな優越感もあった。
馬鹿な生徒も、頭のいい生徒も、どちらも選ばず自分だけを選ぶ。
甘やかすのは息をするよりも簡単だった。
〈私〉は自分でもあるのだから、欲しい言葉を与えればいい。
そうすれば、相手は自分だけを選び続ける。
不完全さも〈私〉であるなら愛おしい。

自己愛主義者
そんな言葉がよく似合う。


(2011/11/23)
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