黒右京

◆楽


画面から目を離した相手は、右京の抱えている物を見て眉を寄せた。

「何だそれは?」

「抽選会で当たったんだ」

「…………」

右京が両腕で支えるように持っていたのは巨大ぬいぐるみ。
それがバグマンだと言うだけで嬉しいのだろう、と考え密やかにため息をついた。

「買い物に行ってくると言って、出て行ったはずだったと思ったが?」

「会計の時に券を貰ってね」

「それで? 買い物袋が見当たらないようだが?」

「……あれ?」

自分の片手を見て目を瞬かせる右京に、今度こそ相手は盛大にため息をついた。


(2011/08/21~8/26)
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