黒右京

◆疑問


「まるで自分が不完全になった気分だ」
「完全な人はいない、それが普通なんだ」
抱きしめてくる相手に、さしたる抵抗をせず返答した。
鏡写しのように同じ顔。まるで一卵性の双子になった気分だった。
ただ普通と違う事は、自分には双子の兄弟はいない事と、目の前の相手が赤の他人でもないと言う事。
相手が求めるのは完全。
別々な事が不完全だとするなら、無意識に1つになろうとする気持ちが働くのだろうか。
だから、近くにいたがるのだろうかと、仮定ばかりの疑問が浮かんでは消えていった。


(2011/07/28)
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