黒右京

◆同一人物CP


「不完全な解答ぐらいバツをつければいい」
「それでも途中までは合っているんだから途中点をあげるべきだ」
「答えが間違っていれば意味がないだろ」

採点中に横から口出しをする人物に対して、ため息をつきたくなった。
もっとも、自分の近くで相手が何か言っている方が安心は出来る。
下手に目の届かない所でウイルスプログラムを作られるよりは百倍はましだった。
ただ、一つ難点を挙げるとすると……

「近くないかな?」
「そうでもない」

いや、絶対に近い。
後ろからベッタリと張り付かれるぐらいに近い。
分かっていてやっているのか、それとも離れられない理由があるのか……
相手の口元が弧を描いている所を見ると、おそらく前者だろう。

「手伝おうか?」
「断るよ」

ため息が出た。
任せたらきっと完全な解答にしかマルをつけそうにない。
完全なものが好きで、その他に対しては冷酷。
たしかに自分も何処かで完全を求めてはいるが、コレが自分の本心なのかと思うと悲しくなりそうだった。


(2011/06/13)
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