右京先生受け

眼鏡
(アストラル+遊馬)


『遊馬、遊馬』
「何だようるさいなぁ、今授業中だって見れば分かるだろ?」
『前に立っている人物が目につけているのは何だ?』
「は?」

アストラルの視線を追い、行き着く先は教壇で授業をしている右京。


『デュエルの時にD・ゲイザーと言うものを目に付ける事は知っている。だが、今は誰もこの場でデュエルをしていない。ならば何故あの人物は目につけている?』
「……お前、眼鏡も知らないのかよ」

そんな事でいちいち質問するなよ、と遊馬は呆れ顔で呟いた。


『眼鏡? 眼鏡とは何だ?』
「眼鏡ってのは……あーもー、めんどくさいなぁ」


「遊馬……遊馬ってば!」

横から腕をつつく小鳥。
小さく呼びかけ続ける声に、遊馬はアストラルから視線を外し小鳥へと振り返った。



「何だよ小鳥?」
「隣で先生が呼んでる」
「へ?」


「遊馬、解いてもらえるか?」

アストラルの質問に気を取られすぎて気付かなかった。
勿論、どの問題かさえ分かっていない。

「え、えっと……」
「もう……次のページ、問題11」

ため息混じりに小声で教えられ、見つけた問題がなんとか解けそうなもので安堵した。

「サンキュー、小鳥」
『コレが眼鏡と言う物か……』
「って、お前は何やってるんだよ!?」

ジッと至近距離で右京を眺めるアストラルに遊馬は、ガタッと立ち上がった。


「ゆ、遊馬?!」

遊馬の突然の行動に、隣で座っていた小鳥が驚いたように声を上げた。


「だぁああ! 離れろお前!!」


「遊馬? 先生の前に何かあるのかい?」

ブンブンと手を振りかざす遊馬に、少し困りながら右京は訊いた。



「えっと、先生。あの、遊馬は先生の近くにいる虫を追い払おうとしてるだけだと思います」


かなり苦しい言い訳だとは思うが、小鳥は遊馬の行動にフォローを入れた。



『観察結果、人はデュエルではない時にもD・ゲイザーに似た物をつける。そして、その名前は眼鏡と言う、記憶しておこう』
「離れろって言ってるだろー!!」


end
(2011/06/05)
4/23ページ