断片話

◆世間話
(ゴーシュ→右京)

教師だという相手は、確かに子供好きをするような空気を纏っていた。
迷子の幼児に出会えば確実に泣かれる強面の自分と違い、雰囲気的なものからして違った。
ナンバーズ探しで苛立っていた気持ちすら溶かした相手に、さすがだと思った。
頭は決して悪くはない。
それどころか、街のセキュリティに関して妙に専門的な知識がある。

「そう言えば。最近じゃ街のシステムがダウンした時なんかが、一番面倒だったな」
「は!? ……そう、ですか」

一瞬驚いたような声を出した相手に、まあ、唐突すぎる話だったかと話題の振り方の難しさを感じた。



「ゴーシュ、随分と油を売っていたようだな?」
「ああ、悪い。ちょっと運命的出会いがあってな」
「なんだそれは?」

あからさまに蔑んだ目で睨んでくるドロワの視線は気にならなかった。
ただ、もう一度ぐらい会えないかと、あの相手の事を考えた。


(2011/12/27)
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