右京先生受け

補習
(遊馬×右京)


「ん~……」


ボーっとしながら目を開け、遊馬は大きく欠伸をしながら頭を掻き起き上がった。


「ふぁ~あ、よく寝たー。って、あれ? 俺なんで教室に?」


自分の家ではなく、ほぼ誰もいない夕方の教室。

目の前には開きっぱなしの問題集データ。

鈍る頭で、何でここにいるのかと考え記憶をたどり、血の気が引いた。



「うおッ、ヤベ!? 先生ごめん! 爆睡しちゃっ、て?」

すぐ隣で補習を見てくれているはずの右京へと勢いよく振り返った遊馬はポカンと口を開けた。


「先、生?」

かすかな寝息をたてて椅子に座ったまま眠る右京。
珍しすぎる光景に驚きが隠せなかった。



「うわ~チョー珍しいぜ……」


本当に眠っているのかと顔の前で手を振るが、起きる様子はなかった。
無防備過ぎる姿に、少し好奇心が沸いた。

しゃがみ込みながら覗き込むと、いつもよりずっと近くで顔が見えた。
もっと近くで見ようと、ゆっくりと遊馬は自分の顔を近づけていった。


「ん……」
「うわ、わッ!?」


薄っすらと開き始めた目に動揺して後ろへと下がったが、途中で勢いあまって机の側面へと頭を打ち、ゴッ、と鈍い音がした。

その音で完全に目の覚めた右京は、転んでいる遊馬を見て目を瞬かせた。


「遊馬? どうした、大丈夫か?」
「な、何でもないよ先生、大丈夫、だいじょうぶ……」


本当は涙がにじむほど痛かったが、誤魔化すように笑った。

もう少しで触れ合いそうなところで相手が起きたのが、よかったのか悪かったのか、微妙な心境だった……


end
(2011/06/04)
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