断片話
◆見舞い品
(凌牙+右京)
担任でもないくせに何故か見舞いに来た数学担当の教師。
どうして構うんだと思う反面、相手の気遣いを無下にするのもさすがに気まずかった。
だから相手が見舞い品の果物を持ってこようと、それを食べやすいように剥こうと、多少の事は何も言わないつもりだった。
が、差し出されたリンゴの形に、手を伸ばす事を忘れ見入った。
「うさぎ?」
「いやだったかい? 家庭科の先生に生徒が喜ぶリンゴの剥き方は兎リンゴだと教えてもらったんだけど」
「……小学生までだろ」
嘘を教えるな、と家庭科の教師に文句を言いに行きたくなった。
そして律儀に実行する方もバカだろと、頭がいいはずの数学教師に対し頭が痛くなった。
仕方なく、形よく剥かれたリンゴを手に取り眺め、能天気でバカみたいにお人好しな人物を思い浮かべ、小さく呟いた。
「まあ、あいつなら喜ぶんだろうな」
(2011/09/23)
(凌牙+右京)
担任でもないくせに何故か見舞いに来た数学担当の教師。
どうして構うんだと思う反面、相手の気遣いを無下にするのもさすがに気まずかった。
だから相手が見舞い品の果物を持ってこようと、それを食べやすいように剥こうと、多少の事は何も言わないつもりだった。
が、差し出されたリンゴの形に、手を伸ばす事を忘れ見入った。
「うさぎ?」
「いやだったかい? 家庭科の先生に生徒が喜ぶリンゴの剥き方は兎リンゴだと教えてもらったんだけど」
「……小学生までだろ」
嘘を教えるな、と家庭科の教師に文句を言いに行きたくなった。
そして律儀に実行する方もバカだろと、頭がいいはずの数学教師に対し頭が痛くなった。
仕方なく、形よく剥かれたリンゴを手に取り眺め、能天気でバカみたいにお人好しな人物を思い浮かべ、小さく呟いた。
「まあ、あいつなら喜ぶんだろうな」
(2011/09/23)