右京先生受け

答案用紙と手元にある答えを見比べ、丸をつける。
地道すぎる作業を2時間以上続けてきた右京は、手を止めため息をついた。
そのまま赤ペンを置き、疲れた目を休めるため眼鏡を外した。


「今日中に終わるかな?」

目元を指でほぐしながら、詰まれた答案用紙をかなり疑問の目で眺めた。
いまどき珍しい紙製の答案用紙。
いっその事テストもデジタルの方が答え合わせも楽なのだけれど、と考え慌てて頭を振った。

「教師が楽を考えたら、いけない、いけない」

とは思うけれど、一学年分ある答案用紙を前に挫けそうになった。


「……とりあえず、コーヒーを飲んでからにしよう」

問題の先延ばしではない。
決して現実逃避ではない。
そう言い訳がましく心の中で呟きながら、答案用紙の積まれた机から離れた。


一時休憩
人はそれを現実逃避と言う。


end
(2011/09/22)
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