右京先生受け

雑談会
(ナンバーズクラブ男子)


「遊馬の好きなタイプは小鳥だろ?」
「べ、別にそんな事ねーよ!! つーか、何で俺だけ断定なんだよ!!」


放課後の教室で好きなタイプについての話に花を咲かせていた四人。

顔を赤くして否定をする遊馬に、鉄男はやっぱり一番分かりやすいよな、と爆笑した。



「遊馬は割と分かりやすいウラね」
「本当ですね」
「おや、そんな事を言ってても良いウラか委員長?」
「はい? 僕が遊馬君以上に分かりやすいとでも言いたいんですか、徳之助君?」

「委員長~俺以上って、それじゃなんか……」
「諦めろ遊馬、お前は分かりやすい」

ポン、遊馬の肩に手を置く鉄男は、慰める気はまったく無かった。



「ズバリ、委員長は年上タイプが好きと俺はみたウラ!」
「なッ、違いますよ!」
「いや、そんなに否定すると反って怪しいぜ、委員長……」

鉄男の言葉に、声を荒げた等々力は一回咳払いをして冷静さを取り戻してから徳之助へと向き直った。


「とどのつまり、何を根拠に言っているんですか?」
「ほほ~う、そんなに強気に出て良いウラか?」
「つーか、年上好きはお前もだろ徳之助」
「ギクッ、って、別に俺は年上の魅力に惹かれることは否定しないウラ」

鉄男からのツッコミを軽く切り返した徳之助は、コホン、とわざとらしく咳をした後、話しを戻すウラ、と呟いた。


「委員長の場合。俺以上に年上に惹かれている証拠があるウラ」
「徳之助君以上に? ありえませんね。仮に僕が年上の人に惹かれたとしても、同じぐらいですよ」
「ムッ、あくまで否定する積りウラね?」
「ええ、勿論」


「それじゃあ言わせてもらうウラが「委員長って右京先生に褒められると凄く嬉しそうだもんな!」
「はぁ!?」

「って、遊馬! 話しを盗るなウラ!!」
「え? 違ったっけ?」
「せっかく順序だてて俺が話そうと思ったのにお前はウラァアア!!」
「わりぃ、でもそんなに怒るなよ……」


何か違ってたっけ、と頭を掻きながら言う遊馬。

遊馬の言葉に、等々力の様子を見ていた鉄男は呟いた。



「いや、まあ……合ってると思うぜ?」


反論の言葉も無く口をパクパクとさせる等々力。
遊馬に出された名前が頭を廻り過ぎて言葉がなかなか出ない等々力は、心音が異常なほど早くなっていった。



「そ、そんな事は……あ、ありッ――――不意打ちは卑怯です!!」


顔を真っ赤にして教室から走り出した等々力。
その後ろ姿を遊馬はポカンと口を開けて眺めるしかなかった。


「い……委員長~?」
「これで決まったウラ」
「ああ、完全に決まったな」

頷きあう徳之助と鉄男。
等々力が出て行った方向を眺めていた遊馬は2人の言葉に首を傾げた。


「何が?」
「委員長の好きな子の事だ」
「絶対に年上タイプウラ」
「へ~……」

断言する鉄男達に、遊馬は気の抜けた相槌しか出来なかった。


end
(2011/08/17)
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