右京先生受け

特別扱い
(等々力×右京)


不機嫌そうな等々力を前に、右京は困ったように眉を寄せた。


「どうしたのかな? 委員長」
「先生は遊馬君に甘すぎます」

キッパリと忠告をされ、右京は軽く目を見開き、次に首をかしげた。
そんな右京に少し苛立ったように等々力は切り出した。


「今日だって、授業中に寝ていた遊馬君に怒ったりしなかったじゃないですか」
「あそこまで清々しく寝てもらうと怒るのも少し気が咎めてね」
「それに、僕の事より遊馬君の提案を聞いたり、遊馬君の補習に付き合ったり――」

だんだんと話がそれていくような気がしながら右京が聞いていると、等々力は最後に力を籠めて断言した。


「とどのつまり、遊馬君が羨ましすぎます!! 僕だって先生と一分一秒でも一緒にいたいです!」
「……委員長?」

はっと我に返った等々力は、自分が口走った事に対し頬を赤くした。


「すみません、取り乱しました」



頬を赤くしながら口ごもった等々力を前に、右京は言われた言葉を反芻していた。


特定の生徒に甘い、そんな自覚は十分にあった。
教師としてはいけない事だと分かりながら、ついしてしまう事もあった。
ただ、指摘された内容と一つ違う所は……


そこまで考えて、右京は目の前の等々力を眺めた。

どこか潔癖の気質がある相手を眺めてから、少し気まずげに目をそらした。




『本人に知られたら……たぶん嫌われるかな?』


end
(2011/07/21)
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