ひらがな男子
「ぬぁに?貴様の新調した衣装と我のが“ぺあこーで”のようだと?」
「おう、書家センセが言うに色味が似てて妙にしっくり来るんだとよ」
言霊おろしへと向かう途中、新調された『た』の衣装を『ぬ』はじろりと睨むように眺め。
はたと己が新調した黒と黄金色を基とした衣装へと視線を落とし、頭を抱えそうになった。
確かにどことなく似ていなくもない配色ではあると。
「ぬぅっ…!ぐぬぬぬぬ……!!原因は上着か!!」
一番何が似通う原因かと問えば、己の暗褐色のマントと『た』の肩布。
ギリッと己がマントを掴みながら『ぬ』は呻き声を上げ。
このまま『た』と“ぺあこーで”なるもので言霊おろしをしなければならないのかと悩まし気に俯いた。
「くっ!今すぐ着替えるべきか!?」
「待て待て、どの道お前さんのいつもの服でも――」
「では貴様が着替えよ!今すぐに!」
「今から言霊おろしだろ!どうせ汚れるってぇの!」
言霊おろし後に書家による墨落としが待っているとはいえ、墨で汚れるのは確定している。
“ぺあこーで”でもなんでもいいだろうにと『た』は『ぬ』を説得しようとし。
火に油を注いだ。
「『た』と『ぬ』って仲いいな~」
「痴話喧嘩は後にしてほしいブー……」
先に待っていた『あ』はあんぱんを食べながら二人の喧嘩を眺め。
『あ』の肩に乗るウリ坊のあんこは呆れたように呟いた。
end
(2025/10/22)