ひらがな男子


「今日も洒落てるなァ」

他と一線を画す『ぬ』を見ながら、ポロリと出た言葉は相手にも届いたらしく。
上機嫌で『ぬ』は『た』の方へと振り向いた。


「ほう、我の今日の服装の違いに気付いたのか?」
「あ?何か違ってたのか?」
「ぬあっ!?違うであろう!生地が!!」
「いや悪ィ…全然わからねぇ」


上機嫌から一変して不機嫌になった『ぬ』に、困ったように『た』は眉を下げた。
やはりいつも着ている服と同じように見え、いや少しばかり色味が違うかと首を傾げ。
矯めつ眇めつ『ぬ』の姿を眺めてから『た』は違いが全然わからんと降参した。


「いつも洒落てるなぁぐらいしか俺にはわからねぇや」
「……ふん、及第点にすらならぬわ」


むすっとした様子で『ぬ』はそっぽを向きながら。
まあ洒落ていると言われて嫌な気はしなくもないと少しばかり思った。


end
(2025/10/21)
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